首位・広島を引っ張る丸佳浩の自覚と決意

週刊ベースボールONLINE

走攻守3拍子そろったプレーで、充実の日々を過ごしている丸 【写真=BBM】

 プロ7年目を迎える丸佳浩は、充実の日々を過ごしている。5月2日現在、14打点、5本塁打、6盗塁。中堅、右翼守備でも、敵のチャンスの芽を摘む好守を随所に披露し、走攻守3拍子そろったプレーヤーは、カープに欠かせない存在だ。今季から背番号9を背負う25歳は、「自覚」と「決意」を胸に、チームとともに新たなステージへのぼろうとしている。

すっかり板に付いた新背番号「9」

 すっかり新しい背番号が板に付いてきた。今季から、かつて緒方孝市(現1軍野手総合コーチ・ベンチ担当)が背負った背番号9を受け継いだ丸佳浩。

「偉大な背番号をいただいたと思います。それに恥じないようなプレーを見せながら、自分の“色”を出していきたいですね」

「カープの背番号9」に恥じないプレー――。それがグラウンドをダイナミックに駆け回る、走攻守3拍子そろったプレーだということは十分に自覚している。3月28日の開幕戦・中日戦(ナゴヤドーム)に「1番・中堅」で先発し、3打数1安打2四球でチャンスメーク。守備でも6回に谷繁元信が放った中前打を捕球すると、自慢の強肩で二塁走者・平田良介を本塁で刺してみせた。

 開幕から打率こそ2割台前半と伸び悩んでいたが、4月11日の中日戦(マツダスタジアム)から打順を3番に移したことで調子が上がってきた。4月18、19日の横浜DeNA戦(横浜)では2試合連続本塁打を放つなど、5月2日現在で打率2割7分4厘まで上昇した。

 昨年、自身初となるタイトル(盗塁王、ゴールデングラブ賞)を獲得した「守」と「走」の両面でも、輝きを放つ。盗塁数は菊池涼介に次ぐチーム2位の6、守備では試合開始時は中堅、試合終盤になると右翼へ守備位置を移し、50メートル走6秒1の俊足をいかんなく発揮。背番号9の後継者として、堂々たるプレーをしていると言っていいだろう。

走攻守に自分の“色”を出す丸

23年ぶりのリーグ優勝へ向け好位置につける広島。好調のチームを丸が力強くけん引する 【写真=BBM】

 4月22日の東京ヤクルト戦(神宮)では、丸の“色”とも言える勝負強さを発揮した。3対4と1点ビハインドで迎えた6回2死一、二塁。野村謙二郎監督が微妙な判定への猛抗議で退場処分(遅延行為)となった直後、ヤクルト・真田裕貴の外角の変化球を見逃さず、右中間を深々と破る逆転の2点適時三塁打を放った。

「(試合の中の)大事な局面で監督が退場覚悟で(抗議に)行ってくれた。何とかしようという気持ちを結果として出せたので良かった。とにかく強い気持ちで振り抜きました」

 この回、さらに1点を追加し、試合は7対4で勝利。指揮官の退場に奮起した丸の一打でチームは逆転勝利を収め、勢いに乗ったチームは23日(6対3)、24日(9対2)と今季初となる同一カード3連勝をつかみ取った。

 首位攻防戦となった25日の巨人戦(マツダスタジアム)でも、3回に放った同点2ランを含む猛打賞と2盗塁。7回には橋本到が放った右中間への飛球をフェンスに激突しながらキャッチするプレーで、大観衆を魅了した。

 野村監督就任1年目の10年に1軍デビューを果たし、チームとともに成長を続けてきた25歳は、確かな手応えを感じている。
「チームに力がついてきた。その中で自分に何ができるか。チームを引っ張っていくことは難しいけど、結果的に成績を残して、自分が引っ張っていければいい」

 23年ぶりのリーグ優勝へ向け、首位を走る赤ヘル軍団。「自覚」と「決意」がみなぎる25歳の若武者が、走攻守でチームを力強くけん引する。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント