井岡の3階級制覇なるか!? 金子は再起戦=5月のボクシング興行見どころ

船橋真二郎

井岡はアマ時代に負けているアムナットとの対戦

日本人2人目となる3階級制覇に挑む井岡一翔。相手のIBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロンはアマ時代に負けている因縁の相手だ 【写真は共同】

 井岡一翔(井岡)が7日、ボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で3階級制覇に挑む。3度防衛したWBA世界ライトフライ級タイトルを返上し、3月24日、25歳の誕生日にフライ級での挑戦を発表した。挑む相手は34歳のIBF世界フライ級王者アムナット・ルエンロン(タイ)。今年1月、王座決定戦でタイトルを獲得し、これが初防衛戦となる。2007年には世界選手権で銅メダルを獲得し、翌年の北京オリンピックに出場(ベスト8)するなど、アマチュアで実績を残している。

 実は両者にはアマ時代の6年前に対戦経験があり、このときはアムナットが勝利しているという因縁がある。だが、プロでの実績は世界戦だけで8戦経験している井岡が上。アウトボクシングをベースに、決定戦では時にクリンチやホールドまで駆使して勝ちに徹したアムナットは崩しづらそうだが、総合力が高く、相手のスタイルや戦況に応じて戦略を変えられる柔軟さに磨きがかかる井岡優位は揺るがないだろう。3階級制覇は叔父の井岡弘樹さんがフライ級で3度、スーパーフライ級で1度挑み、ついに成しえなかった壁でもある。世代を超えた悲願の達成、自身のアマ時代の雪辱。モチベーション高く挑む井岡がフライ級でどのような戦いを披露するのかに注目したい。

IBF世界王者・高山は7年ぶり日本人対決

井岡とダブル世界戦となるIBFミニマム級王者の高山勝成は7年ぶりの日本人対決となる挑戦者・小野心を迎え撃つ 【写真は共同】

 7日はダブル世界タイトルマッチ。IBFミニマム級王者の高山勝成(仲里)が2度目の防衛戦に臨む。挑戦者は同級10位のサウスポー小野心(ワタナベ)。高山にとっては7年ぶりの日本人対決となる。日本人初の4団体制覇を目指し、2009年に日本ボクシングコミッション(JBC)を脱退。海外を転戦し、実に3度目の挑戦で現在のベルトをメキシコで奪取したのは、JBCが未公認だったIBF、WBOに加盟する2日前の2013年3月30日のことだった。同年7月にJBCに復帰。12月には初防衛に成功した。経験で大きく上回る高山の優位は動かしがたい。

 初挑戦の小野は機動力のある高山の動きにいかに対応できるか。元東洋太平洋ライトフライ級王者の小野はこれが初めてのミニマム級で体重調整もポイントになる。高山は苦労して海外で獲った価値の高いベルトを、残るWBO挑戦への足掛かりにするためにも負けられない。

村田が思い出の地・京都で第4戦

ボクシングを本格的に始めた京都でプロ4戦目を行う村田 【スポーツナビ】

 22日には島津アリーナ京都(京都府立体育館)で村田諒太(三迫)がプロ4戦目のリングに上がる。南京都高校(現・京都廣学館高校)で本格的にボクシングを始めた村田にとっては原点とも言える地。4月14日の発表会見では「思い入れがある京都でできるのはうれしい」と素直に喜びを表現した。前戦のマカオではガードだけに頼らず上体を振り、ジャブと足を使うボクシングを見せたが、まだスタイルを作り上げている段階。現在は決定打となる“武器”を身に着けることをテーマに、体重の乗った右ストレートをいかに打ち抜くかに取り組んでいるという。

 対戦相手は12勝6KO3敗のヘスス・ネリオ(メキシコ)で、ミドル級10回戦で行われる予定。村田は恒例のラスベガス合宿でスパーリング中心に腕を磨き、この一戦に臨む。「右ストレートを打ち抜ける選手は華がある」と、5階級制覇の“ヒットマン”トーマス・ハーンズ(アメリカ)や3階級制覇のフェリックス・トリニダード(プエルトリコ)といった往年の名選手の映像からも学んでいる村田の右ストレートに注目だ。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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