記録より記憶に――V6王者・山中の不満 貪欲さ+神の左で辰吉らに並ぶ存在へ
4度のダウンでTKO勝利にも不満
9回TKO勝利を挙げた山中は5連続KOで6度目の防衛に成功した 【t.SAKUMA】
「気持ちは強かったが、頑張るだけの選手。もっと早い段階で仕留めなければいけない相手」
だからこそ、合計4度のダウンを奪っての9ラウンドTKO勝利にも、まず不満が口をついた。「一発当てて、効かせた後のまとめ方に課題が出た試合。左の一発に頼り過ぎて、上体が流れて三発、四発と連打が続かなかった。バランスの悪さが出ました」と。その上で「もっと早く詰めて仕留められないようでは、まだまだ人気は出ないと思うし、行くところで行かないと見ている人の心をつかめない」と話す。その言葉の延長上には、1週間前の公開練習で表明した「強さという面では自信はあるんですが、歴代の王者の方々と比べたら、まだまだ記憶に残っていないと思うので、皆さんの記憶に残るパフォーマンスを続けていきたい」という決意がある。
左を当てる距離を早々に掌握したが…
開始早々から“神の左”を当てる距離を掌握したという山中 【t.SAKUMA】
だが、早々にダウンを奪ったことで「狙い過ぎた」と山中。加えて世界王者になってからは初めての関西凱旋試合。大阪城ホールには地元・滋賀県湖南市から3500人もの大応援団が駆けつけている。「冷静でいようとしたが、力みはあった」というのも無理はない。また、右フックを振ってくるジャモエに対し、「左ストレートから右フックを返そうとすると、危ないタイミングがあった」という判断から返しの右を手控えたことで左への依存度が増し、より左に力みが生じる要因になったのかもしれない。それでも、ほとんど左ストレートの上下の打ち分けだけで山中は試合を終わらせた。