桜女王ハープスター「32秒9」の衝撃 川田の自信と信頼、負けるイメージなし

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オークスから凱旋門賞へ

次走はオークスが既定路線、そしてその先には凱旋門賞が待っている 【スポーツナビ】

 当の川田の馬上での心境は、こうだった。
「ゴールまでに全馬捕まえられるだろうと思っていました。ヤバイと思う瞬間はなかったですね」
 さすがに今回はいい展開ではなかった、と川田自身も認めてはいるものの、それでもなお負けるイメージが浮かぶ瞬間さえなかったなんて……繰り返しになるが、ハープスターは恐ろしい。そして、だからこそ、この先が楽しみで仕方ない。

“この先”の話に関して、松田博調教師は「オーナーと相談して決めることになると思いますが、どうなるんですかね? 私は分からないです」と、含み笑いしながらの返答。もちろん、これはすっとぼけただけで、次走は5月25日の牝馬クラシック二冠目、GIオークス(東京2400メートル芝)が既定路線だ。

「距離はもつと思いますね」と話したのは生産牧場ノーザンファームの吉田勝己代表。オークス後はフランスのロンシャン競馬場で秋に開催される世界一の芝レース・凱旋門賞への挑戦もにらんでおり、すでに登録は完了。吉田代表はこの場で明言こそしなかったものの、「ハープスターは完全にヨーロッパ血統ですからね」と、すでにその視線は府中2400メートルではなく、ロンシャン2400メートルを見ているようだった。

「負けられない馬になった」

「ひとつ、ひとつ取りこぼさないように」と川田はハープスターとともにこのまま勝ち続けることを宣言した 【スポーツナビ】

 そのためにも、1カ月後のオークスは勝利条件が絶対。むしろ、勝ち方すら問われるだろう。川田が口取り式で堂々、人さし指を1本、天高く突きあげたのは“まずは一冠”という意味を込めてのもの。そして、こう続けた。
「桜花賞でこれだけ強い勝ち方をしたので、余計に負けられない馬になりましたね。ひとつ、ひとつ、取りこぼさないようにしていきたい」

 他陣営には申し訳ないが、この1戦で同世代との勝負づけはすでに終わってしまった印象だ。次のオークスは“世界”へ挑戦状を突きつけるデモンストレーションになるのだろう。日本にはキズナだけじゃない、ハープスターがいるぞ、と。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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