異国で女王交代―ジェンティル対抗評価=奥野庸介のドバイミーティング展望

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馬場適応ベルシャザールの末脚期待

タペタにも適応できそうなベルシャザール、一気の末脚を期待! 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

[ドバイワールドカップ]

 昨年、地元香港のG1クイーンエリザベス2世CとG1シンガポール航空国際Cを連勝したミリタリーアタック(セン6、父オラトリオ)が優勝賞金600万ドルの大舞台で世界に羽ばたく。この時期に調子のピークを迎える「春馬」。新シーズンから4連敗と足踏みしたものの、前走のG1香港ゴールドCは文句のつけようのない完勝だった。タペタも5シーズン目となり、瞬発力のある馬に有利な傾向を見せている。

 G1フェブラリーSは追い上げたものの時既に遅し。末脚の強靱さならベルシャザール(牡6、父キングカメハメハ)もそん色ない。芝でもダートでも勝ち星を挙げているのは昨年の優勝馬アニマルキングダムと同じ。06年のG1ドバイシーマクラシックでハーツクライを優勝に導いたC.ルメール騎手の手腕に期待したい。

 凱旋門賞(7着)は不調に終わったが、英ダービー馬ルーラーオブザワールド(牡4、父ガリレオ)が無様な姿を見せる訳にはいかない。直前にカタールのジョアン殿下(アルシャカブレーシング)が部分所有権を獲得。代表馬主となったことで今回からアルシャカブのグレーの勝負服で臨む。トレード後に凱旋門賞を制したトレヴに続く、ウルトラCがあるかもしれない。

 G1香港ゴールドCではミリタリーアタックに5馬身以上ちぎられたものの、昨年のG1香港ダービーとG1香港Cを制したアキードモフィード(牡5、父ドバウィ)の末脚も一級品。G1香港Cで見せた瞬発力が怖い。

 昨年、アニマルキングダムにじわりじわりと迫って最後は2馬身差まで近づいたレッドカドー(セン8、父カドージェネルー)は長い直線(450m)で持ち味を生かす。自在な脚質を持つホッコータルマエ(牡5、父キングカメハメハ)はうまく立ち回って上位進出。有力馬が差し・追い込みタイプに偏り、サーファー(セン5、父ディストーテッドヒューマー)の前残りが穴。前哨戦を連勝中のプリンスビショップ(セン7、父ドバウィ)や米国でダートのG1勝ちのあるロンザグリーク(牡7、父フルマンデート)など気になる馬も多い。

ホッコータルマエは自在性が持ち味 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

◎ミリタリーアタック
〇ベルシャザール
▲ルーラーオブザワールド
☆アキードモフィード
△レッドカドー
△ホッコータルマエ
△サーファー

 AWでもミリタリーアタックの決め手が勝るか。オルフェーヴル世代のベルシャザールはあらゆる馬場に適応。格で英ダービー馬ルーラーオブザワールド。ミリタリーアタックとの差を徐々に詰めるアキードモフィードが逆転候補。良い脚を長く使うレッドカドー、自在に動けるホッコータルマエらが上位進出。前残りになってサーファーが穴馬に。

ジェンティルドンナに心強い味方

ジェンティルドンナは鞍上ムーア、コース経験が心強い味方になる 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

[ドバイシーマクラシック]

 ここを目標にじっくりと乗り込まれたデニムアンドルビー(牝4、父ディープインパクト)が晴れの舞台で新旧交代を告げる。ジェンティルドンナにハナ差まで迫ったG1ジャパンCで八分咲き。このメンバーでも通用する決め手を持つまでに成長した。他馬より軽い54.5kgも有利。「追う強み」が発揮されるはずだ。

 昨年はこの馬らしからぬ競馬でセントニコラスアビーの後塵を浴びた女王ジェンティルドンナ(牝5、父ディープインパクト)。G2京都記念で初めて掲示板を外し、メンタル面を心配する声もあるが、ジャパンCでコンビを組んだR.ムーアがいるのは心強い。英国ブックメーカーはマジシャンと並ぶ1番人気(単勝4.5倍)に支持しており、注目度は高い。コース経験があるのも強み。

 G1ドバイWCに挑むミリタリーアタック、アキードモフィードとともに香港の中長距離界のトップに位置するドミナント(牡6、父カシーク)も手強い一頭。G1香港ヴァーズではザフューグ、ドゥナデン、レッドカドーらをなで斬りにした。J.ムーア厩舎とJ.モレイラ騎手は香港最強のコンビ。

 G1愛2000ギニーとG1BCターフ優勝のキャリアを持つマジシャン(牡4、父ガリレオ)はA.オブライエン厩舎の目玉。G1BCターフではザフューグを半馬身差し切った。

 G1ドバイWCを念頭に今年初戦をシャンティーのAWに設定したシリュスデゼーグル(セン8、父イーヴントップ)は断然の人気を裏切って4着に敗退。AWを諦めて一昨年優勝しているシーマクラシックに狙いを変えた。5歳時は全欧古馬チャンピオンに輝いた古豪だが、巻き返しには馬場悪化の助けが必要。

 昨年の4着馬ドゥナデンには距離が短い印象。終いの脚は確実で良いところまで来るだろうが勝つまではどうか。

◎デニムアンドルビー
〇ジェンティルドンナ
▲ドミナント
☆マジシャン
△シリュスデゼーグル
△ドゥナデン

 デニムアンドルビーとジェンティルドンナの一騎打ちにドミナントが割って入る。マジシャン、シリュスデゼーグル、ドゥナデンらの欧州ビッグネームは乱ペース&混戦になって浮上。

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