ベルシャ、タルマエ異なる道から世界一へ=いざドバイWC 日本ダート馬の底力を!

JRA-VAN

近年の日本馬の不振……原因はタペタ

芝実績のあるベルシャザールならタペタもこなせるはずだ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 ヴィクトワールピサ、トランセンドのドバイワールドカップ(WC)ワンツーから早3年。その後も日本馬はドバイWCに挑戦は続けているものの、成績は今ひとつ振るわないことも否めない。
 そんな日本馬不振の最大の要因と言っても過言ではないのが、タペタという材質のドバイ独特のオールウェザーコースだろう。これは日本のダートとは明らかに異質なモノで、砂の中にはフエルトやプラスチックを粉砕した屑などが混入され、そこに水分が加わると粘土のような粘り気も出てくる。
 実際にタペタで騎乗したジョッキーたちは「馬の脚にまとわりつく砂の感じもあるが、スピードも出やすく、今までに経験したことがない」と口を揃えてコメントしている。こうなると、もはやダートとは呼べない。従って、いくら日本でダート王の称号を手にしていようが、タペタを攻略できなければ結果は付いてこないということだ。

 それならば、どんなタイプの馬がタペタに適合するかという話になるが、これはズバリ芝・ダート共にこなしている“二刀流”馬が理想。現に唯一、日本馬でドバイWCを制したヴィクトワールピサは元々、芝のG1を2勝(皐月賞、有馬記念)している芝馬。やはり、日本のダートよりも弾力があり、スピードが出る馬場なだけあって、ダートのみならず芝で結果を出せている馬の方がより好走する可能性は高いと言える。

ベルシャのスピード、タルマエの遠征経験

ホッコータルマエの遠征経験は強み、 環境の変化にも順応できそう 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 そう考えると、今年の日本代表であるベルシャザールはまさにそれ。芝での重賞勝ちこそ無いが、3歳時はオルフェーヴルが勝った日本ダービーで3着に入線する好走を見せるなど、芝での活躍も目立っていた。それが昨春よりダート路線に進路を変更すると、眠っていたダート馬としての才能が開花して、あれよあれよとブラジルC(OP)→武蔵野S(G3)→ジャパンCダート(G1)と3連勝して最優秀ダート馬の座まで昇り詰めた。まさに芝・ダート共に対応できる二刀流と言える。
 脚質的には中団から差してくるイメージもあるが、ある程度先行して切れる脚を使う展開も問題ないので、先行有利とされているドバイWCの流れにも対応できるはず。

 一方、もう一頭の日本代表馬・ホッコータルマエはベルシャザールとは全くの別路線を歩んできた。こちらはデビュー当初から主戦場をダートに固定し、元々ダート馬として現在の地位まで駆け上がった。その際には中央競馬のみならず、果敢に地方へ遠征し、それぞれに異なる全国各地のダートコースを転戦してきた。芝での経験がなく、通常のダート競馬の常識を超えるドバイのスピード競馬に対応できるかということは定かでないが、それを補う遠征経験はこの馬の強みだ。環境の変化にも順応できそう。

 ベルシャザール、ホッコータルマエ共に全く違う道を進んで世界最高峰の舞台に辿り着いた訳だが、それだからこそ両雄がどのようなレースを見せてくれるのか楽しみであり、期待度も高まる。2011年以来の日本馬によるドバイWC制覇を期待したい。

(photo & text by Kazuhiro Kuramoto)
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