日本代表、「サプライズなし」の理由 15年W杯に向けたメンバー発表

斉藤健仁

エディーHCの一貫した選考基準

パナソニックを2冠に導いた田中史朗。日本代表でもリーダーの一人としてチームを引っ張る 【写真は共同】

 3月12日、春シーズンのラグビー日本代表メンバー発表記者会見が行われた。就任3年目、2015年のワールドカップ(W杯)を1年後に控えてエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)の目は決意に満ちていた。40名の選手が発表されたが、指揮官は「選考基準に関しては、この2年間変っていない」ときっぱり。スーパーラグビー挑戦中のHO堀江翔太、SH田中史朗(ともにパナソニック)ら軸となる選手が順当に名を連ね、サプライズはなかった。

 攻撃ラグビーを標榜するエディー・ジャパンの戦術は、SHの横にFW前5人のタイトファイブ、SOの横にバックロー、インサイドCTBの周りにBKの選手を、攻撃が連続する中で配置し続ける「アタック・シェイプ」である。ただ選手が立つのではなく、3つのユニットを連動(リンケージと呼ぶ)させて、相手の組織ディフェンスを混乱させ、崩してトライを狙う。

 そのため、ディシジョンメーカーである田中、日和佐篤(サントリー)らの9番、立川理道(クボタ)、田村優(NEC)、クレイグ・ウィング(神戸製鋼)らの10番と12番に新たな人材が選ばれなかったのも当然だ。ジョーンズHCは特に立川と田村に「判断を持って、パスもランもできる選手」と高評価を与えている。司令塔の一人、SO小野晃征(サントリー)は、今回は家庭の事情で選出されなかった。

「経験のない選手をW杯で起用することはない」

 2015年W杯のメンバーはおそらく30名ほど。今回、日本代表に40名が選出され、合宿などに帯同する育成選手が4名選ばれた。小野も含めて、ケガで選出できなかったSO山沢拓也(筑波大1年)、CTB霜村誠一(パナソニック)の3選手を加えると47人。ケガなどの理由を除いて、この1年半で30名に絞ると見てよいだろう。

 就任当初よりジョーンズHCは、「キャップ数」とインターナショナルレベルでプレーすることができるか、つまり“経験”を重んじてきた。「実力が突出していれば話は違います」と言いつつも、「今回のメンバーの多くが高い確率で(来年の)W杯に行けることを願っている。経験のない選手をW杯で起用することはない」と断言。よほど才能のある選手でない限り、現在のメンバーに割って入ることは難しい。

1/2ページ

著者プロフィール

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーとサッカーを中心に執筆。エディー・ジャパンのテストマッチ全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」、「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「ラグビー「観戦力」が高まる」(東邦出版)、「田中史朗と堀江翔太が日本代表に欠かせない本当の理由」(ガイドワークス)、「ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「エディー・ジョーンズ4年間の軌跡―」(ベースボール・マガジン社)、「高校ラグビーは頭脳が9割」(東邦出版)、「ラグビー語辞典」(誠文堂新光社)、「はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門」(海竜社)など著書多数。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント