ターボエンジン、ERS導入などで大変革=2014シーズンのF1が開幕へ

田口浩次

チームメート同士のバトルがあり得る?

今季、再びF1に戻ってきた小林可夢偉。ケータハムでどんな走りを見せてくれるか 【Getty Images】

 こうしたモグラたたきにも似たトラブルチェックを全チームが行っているが、現時点では、それが順調に進んでいるのがメルセデスとメルセデス製パワーユニットを採用しているチーム、そしてフェラーリだと言える。残念ながらルノー製パワーユニットを採用しているチームは大きく出遅れてしまった。今季F1復活を果たした小林可夢偉も所属するケータハムがルノー製パワーユニットグループのため、テストではかなり苦しい状態だった。そんな中でも、可夢偉のフィードバックはチームに大きな力となっているので、早くルノー製パワーユニットがアップデートされていくことを期待したい。

 では、開幕戦のオーストラリアGP、第2戦のマレーシアGP(28日〜30日)の動向はどうなるのだろう? まず考えられるのは、抜きつ抜かれつのバトルよりも、各チークが独自に設定したレースプログラムを、その通りに遂行できるかの勝負になるだろう。
 つまり、どのチームも想定したラップタイムでの走行を重視するため、無理なブロックや勝負を避ける可能性が高い。そんな中、例えばメルセデスはニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンが似たようなレース戦略をとった場合、2人の勝負が見られるかもしれない。それと同じ理由で、フェラーリもフェルナンド・アロンソとキミ・ライコネン、そしてフォースインディアのセルジオ・ペレスとニコ・ヒュルケンベルクなどのチームメート同士の勝負は展開によってはあり得るだろう。

過去にないほどすべてがリセットされたシーズン

 正直、14年のF1シーズンは、チーム関係者の誰に聞いても「まったく予想がつかない」という過去にないほど、すべてがリセットされた状態でスタートする。弱小チームでも、ERSユニットの適正な使い方や、制御部分のマネジメントが成功した場合、大きく躍進する可能性がある。

 では、どんな風にテレビを観ていれば楽しめるのか? まずはお気に入りのチームのチームメート争いをチェックしてもらいたい。チームが計算した想定通りに走ることができたドライバーの方が、間違いなく前を行くはずだからだ。

 次に同じパワーユニットを搭載するチーム同士の相関性をチェックしてもらいたい。ルノー製パワーユニットで走る小林可夢偉は、他のルノー製パワーユニットのチームとどう争っているかをチェックしてもらえれば、今年の小林可夢偉の可能性も見えてくるはずだ。

 そして最後に、全チーム全体をチェックすると、シーズンの展望が予想できるかもしれない。だが、まずはV6ターボエンジン音と、ブレーキングでエネルギー回生しているときの、まったく違うF1サウンドを楽しんでもらいたい。

<了>

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