データの力は女子チームでこそ発揮される=バレー眞鍋監督・女子力の生かし方 第4回
数字を示して指導することで、チーム内の公平性を保てるようになったという眞鍋監督 【スポーツナビ】
しかし、女子チームを率いるようになるまでは、今ほどデータを活用することはなかったという。眞鍋監督はなぜ数字を必要としたのか。また、チーム内でどのように活用しているのか。眞鍋監督いわく、きっかけは女子チームならではのある出来事だったという。
女子チームに重要な公平性
そこで自分をさらけ出すことから始めた私は、失敗談も含め、何でも話すように心掛けました。全員でのミーティングよりも個別に顔を突き合わせて話した方が、本音も出てきますし、心も近くなったような気がしました。
しかし、ある時、強打のレシーブが苦手な選手に私がスパイクを打って個別練習をしていると、「監督は一人だけ特別扱いをしている」という声が挙がりました。女子の場合、監督やコーチが特定の選手に関わると、ねたみに変わりやすい。女性のねたみは怖いです(笑)。一転して反抗に変わりますから、チームがまとまらなくなる。私の使命は勝つチームを作ることですから、それでは困ります。女子チームをまとめるには、公平性を保つことが重要だと身をもって知り、このころから、たわいもない雑談も、特定の選手に偏らないようにまんべんなく声を掛けるようにしました。
数字で可視化し、納得を引き出す
例えば、各選手の成績を数字で可視化し、先発メンバーの選定基準にしました。それは、大きな大会だけでなく、紅白戦や日頃の練習での選手のパフォーマンスもアナリストに分析してもらい、スパイク決定率や効果率、レセプション返球率、サーブの効果率などを、細分化して数字に落とす。これをコーチや選手全員に毎日メールで配信したり、貼り出したりします。数字の良かった選手は黄色、悪かった選手は赤色など一目で分かるようにしました。いわば、毎日テストの成績が届くわけです。それも、皆が分かるように。
最初は選手に不評でした。女性は特に数字で評価されることを嫌がる傾向にあるように思います。それは今も同じでしょう。でも、先発メンバーを数字が良い順から6人を選ぶことは、そこには私の感情や“特別扱い”が入っていませんから、文句の言いようがないのです。