「日本はバルサのスタイルを目指すべき」
対談:宮本恒靖×イビチャ・オシム
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2003年からジェフ千葉の指揮を執り、06年から07年まで日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏
2003年からジェフ千葉の指揮を執り、06年から07年まで日本代表監督を務めたイビチャ・オシム氏【(C)WOWOW】

 宮本恒靖とイビチャ・オシム――夢の対談が実現。世界をリードするリーガ・エスパニョーラの2強、レアル・マドリーとバルセロナの対戦“クラシコ”が3月23日(日本時間24日早朝)に迫る中、その中に日本人選手が飛び込む日は来るのか? そして日本サッカーの未来は? 日本サッカー界と代表について、世界の視点から最も深く語ることができる2人が言葉を交わした。

いつか日本人選手がレアルかバルサに加入する日が来る

宮本 日本人選手がスペインで活躍できないのはなぜでしょう? ドイツやイタリアでは成功していますが……。


オシム どうして日本人がスペインリーグでプレーしていないのか、というのは良い質問だ。それにはまず、スペインが最高のサッカーをしていると認める必要がある。だから移籍できたとしても、試合に出るのは難しい。スペインのサッカーは、ハイブリッドというか、ヨーロッパと南米の良いところを併せ持っている。だから、見ていて楽しい。日本で一般に考えられているよりも、スペインでプレーすることははるかに難しいのだ。


宮本 その日本人選手がクラシコ(レアル・マドリー対バルセロナ)でプレーする日がいつか来ると思いますか?


オシム 出場できない理由はない。すでにヨーロッパでプレーしていて、スペイン人がアトラクティブ(魅力的)だと思う選手が、そのうち(レアルかバルサに)加入する日が来るだろう。日本人だからという理由ではなく。


 多くの関係者にとってはビッグニュースになるだろう。もちろん、その場合のアトラクティブというのは、面白いプレーをするだけでなくメディアにとって魅力的という意味もある。


(ビジネス的に)採算が取れる。それは問題じゃない。スペインのチームが日本のチームと試合をして、スペイン側が日本サッカーを見直すというきっかけが、いつかあるだろう。そして、日本人を獲得してみようという気にさせる。スペインでは、レアル・マドリー相手に良いプレーをする選手が人気になる。すると次のシーズンにその選手は、レアル・マドリーに移籍している。サポーターも、レアル・マドリー相手に3点、4点取った選手はすぐに覚えるし、クラブとしても獲得に走る。得点を挙げたり、あるいはファインセーブを見せたキーパーとか、そういう選手を買う例が多い。


 単純に聞こえるかもしれないが、そういう例がある。われわれも、スパシッチをレアル・マドリーに売ったことがある(※センターバックのプレドラグ・スパシッチ)。彼は当時ユーゴスラビア代表だった。われわれはイタリア(1990年年W杯)でスペインに勝ったが、その時スパシッチが相手チームのバルセロナのFWに仕事をさせなかった。ほとんどボールに触らせなかった。そうしたら、その後すぐにスパシッチが欲しいと(レアルから)言ってきた。シュマディア(出生地クラグイェバツのある地方の名)からさえ出たことのないような男(田舎もの)がマドリーに移籍したんだ(笑)。


 しかし、そういうことが起きる。ビッグクラブもそうやって、焦って補強をすることがあるんだ。いつでもそういうわけではないが、レアル・マドリーだけでなくバイエルンも同じような補強をしたことがある。バイエルンも、ブンデスリーガで自分に対して良いプレーをした選手のリストを作ってある。そこから補強をするわけだ。メディアにとっても、スタジアムに来る観客にとっても話題になる。

他国にはない日本人のクオリティーとは?

2002年と06年のW杯2大会に出場、日本代表の主将も務めた宮本恒靖氏
2002年と06年のW杯2大会に出場、日本代表の主将も務めた宮本恒靖氏【(C)WOWOW】

宮本 W杯にボスニア・ヘルツェゴビナ(オシムの母国)が出場して、将来海外で活躍する選手が生まれてくることを想像していますか?


オシム 私の望みとは関係なく、そうした選手は生まれ出てくるだろう。(レアル・マドリー移籍については)ジェコは、その寸前まで行った。彼ら(ビッグクラブ)は、必要な選手を見つけてくる。そして必要な選手を見つけたら、どこからでも買ってくる。ヨーロッパでは最近、似たシステムのチームが少なくないから、その中から選手を見つけることができる。代わりといっても交代要員とは限らず、ファンが気に入る、あるいはメディアが気に入るような選手を加えるという意味がある。


宮本 日本のサッカーがこれから進むべき道は?


オシム そうだな、何を持っているのかを考え、それを基礎にしていくことだ。私の考えでは、日本人はサッカーに必要なクオリティを一番多く持っている。持って生まれた自然な資質。機動力、アグレッシブさ、スピード、持久力、まじめさ、それらの要素はサッカーにとって非常に大切なものばかりだ。彼(宮本)も、それらを備えている。


 個人的な考えだが、日本はバルセロナスタイルのサッカーを目指すべきだ。運動能力、いい意味でのアグレッシブさ、そういうものを生かして、鳥の集団がひとつかみで獲物を狩るように相手のボールを奪えばいい。バルセロナがそういうやり方をしているだろう。


 日本人はそういう集団的行動能力を持っている。それからフェアプレー。サッカーの試合では汚いファウルがあるが、日本ではそういうものをほとんど見たことがない。その要素を生かせばいい。それ以外にも他ではあまりない、日本人が持っているクオリティーが存在する。持久力、アグレッシブさ、もちろんポジティブな方だが、殴り合いではない勇敢さ。それらの要素は、ほかの国ではあまりないものだよ。


<了>

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