橋本清が見た今季、注目の選手とは? 若手もベテランも見どころ満載のプロ野球

構成:スポーツナビ

ブルペンでの投球は「上々だった」という楽天・森。次は実戦のマウンドで結果を出したい 【写真は共同】

 開幕まで約1カ月――。2月も終盤を迎え、各球団はキャンプを打ち上げ、オープン戦も本格化。いよいよ開幕1軍の生き残りを懸けたサバイバルが始まった。昨シーズンは東京ヤクルト・小川泰弘や東北楽天・則本昂大らがキャンプで評価を上げ、則本は29年ぶりにルーキーでの開幕投手を務めた。それでは今季、どんな注目の選手が出てきているのだろうか? ここまでのキャンプ、オープン戦を見て、プロ野球解説者の橋本清氏が解説する。

星野監督も太鼓判を押す成長株

――キャンプも続々と打ち上げられ、オープン戦も本格化し始めました。ここまでプロ野球キャンプを見てきて、気になった選手はいましたか?

 楽天の2年目左腕・森雄大投手ですね。キャンプを取材していていろいろなところで、「今年の森は良い」という評価を聞きましたし、ブルペンでの投球を見ると、バネのあるフォームから角度のある良いボールを投げていました。

 楽天にとっては、田中将大投手が抜け、則本投手と美馬学投手くらいで先発の駒が不足しているわけですから、今年のドラフト1位・松井裕樹投手や復活が期待されている塩見貴洋投手とともに、先発ローテーション入りしてほしい投手ですね。また、するだけの力が十分あります。

――森投手、昨シーズンと違いはどんなところに感じましたか?

 体ができていませんでしたね。昨シーズンは後半戦に出てくる可能性を秘めていましたし、首脳陣から後半戦に先発を考えているという話も聞いていましたが、夏場に腰を痛めて、フレッシュオールスターでも予告先発されながら登板できず、そのまま1軍登板なしに終わりました。
 ただ、もともと力のある投手ですし、優勝争いをしていた楽天の中で、後半戦に先発を期待されていたわけですから、非常に楽しみな投手ではあります。星野仙一監督も「昨年は成長痛だったんだよ」と言っていましたし、まだまだ森投手は肉体的にも成長期なんだと思います。そういう意味で、昨シーズンは肉体的な力不足だったのだと思います。

 それが今シーズンは、ウエイトトレーニングを積んできて体重も5キロ増やしていましたし、鹿屋体育大学で投球フォームの動作解析に取り組むなど、積極的にレベルアップを図ってきていました。星野監督もキャンプ中は一番の成長株として森投手の名を挙げていましたので、期待しています。

フォームに一呼吸が生まれればさらに良い投手に

――今後の森投手に期待ですね。

 今後は良い球を投げられるというだけでなく、結果も求められてきます。結果がついてくれば、自分がやってきたことへの自信の裏づけにもなりますし、それがさらなる成長に結びついていきます。
 ただ、22日の楽天としてのオープン戦初戦、ヤクルト戦での登板を見ましたが、物足りない投球内容で、残念でしたね。立ち上がり四球3つとストライクが取れませんでしたね。松井裕樹投手は初実戦ながら、しっかりとストライク先行の投球ができたことで、評価を得ましたよね。誰もがマウンドでは力むものなのですが、その中でストライクをどう取っていけるかが森投手の今後の鍵になっていくと思います。

 良いボールを投げる投手はキャンプ中で毎年、たくさん見ますが、それが結果に結びついていくとは限りません。森投手はブルペンでの投球は上々でしたので、今後、実戦で使えるんだという結果を自らつかみ取ってほしいですね。

――技術的な改善点をどんなところなんでしょうか?

 投球フォームですが、もう少し下半身を使えると良いと思います。あと、体重移動ですね。もう少し体がバッター方向に向かうときに“間”がほしいですね。今は「結果がほしい」「良い球を投げたい」「投げなきゃ」と思うがあまり、上体が高く、突っ張った感じで投げて、投げ急ぎのような形になっています。足を上げて下ろしたときにすぐに体が回転してしまっている部分を改善できればいいのではないかと思います。もう少し心に一呼吸、投球フォームに一呼吸できれば、バッターに対しての差し込み、押し込みがさらに出てくると思います。

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