羽生「胸に金メダル、誇らしい」=ソチ五輪日本選手団 帰国会見

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帰国会見に出席したソチ五輪メダリストの(左から)小野塚、竹内、羽生、平野、平岡 【スポーツナビ】

 ソチ五輪で冬季史上2番目に多い8個のメダルを獲得した日本選手団が25日午前、日本に帰国した。帰国後、都内で記者会見が行われ、橋本聖子団長をはじめとする役員、田畑真紀副将(スピードスケート/ダイチ)や羽生結弦(フィギュアスケート/ANA)らメダリストが参加した。

 今大会唯一の金メダリストとなった羽生は「たくさんの応援を頂き、金メダルを胸に下げて日本に帰ってきたことをとても誇らしく思います」と喜びを語るとともに、「演技内容については満足していないので、五輪チャンピオンらしい演技ができる、強いスケーターになっていきたい」と今後に向けて抱負を述べた。

 以下、出席者による会見と一問一答。

橋本聖子団長
古川年正副団長
伊東秀仁総監督

田畑真紀(スピードスケート/ダイチ) ※副将
小笠原歩(カーリング/北海道銀行) ※旗手
羽生結弦(フィギュアスケート/ANA)
竹内智香(スノーボード・アルペン/広島ガス)
平野歩夢(スノーボード・ハーフパイプ/バートン)
平岡卓(スノーボード・ハーフパイプ/フッド)
小野塚彩那(スキーフリースタイル・ハーフパイプ/石打丸山クラブ)

橋本団長「次への大きな希望を見いだすことができた」

橋本団長 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定してすぐのオリンピックということで、冬季・夏季の垣根を越えて、心をひとつにして「チームジャパン」として向かって頑張ろうということでスタートを切りました。過去最大となった113名の選手たちが一丸となってソチの地で頑張ってくれまして、本日無事に帰国できました。国民の皆さん、そして支えていただきましたスポンサーの皆さん、選手を雇用していただいている会社の皆さん、あるいはマスメディアの皆さまに、心からの敬意と感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 今回、目標としましたメダル数に、長野オリンピックを超える「金5個、総数10個」を掲げましたが、残念ながら「金が1つ、銀が4つ、銅が3つ」という結果に終わりました。ですが、私たちチームジャパンにとって、自信と誇りをもって帰国できたのではないかと思います。“レジェンド”葛西(紀明)選手を主将として、チームジャパンとして一丸となって頑張ることができました。41歳という年齢にもかかわらず、本人が7回目のオリンピックで自身初となる個人メダルを獲得できたのは、選手としての姿だけでなく、人間としての素晴らしい競技力を発揮することができたからではないかと思います。そして15歳の平野選手が銀メダルを獲得してくれました。15歳から41歳という幅広い年齢で日本にメダルを掲げてくれたというのは、素晴らしいメッセージ力があるのではないかと、私自身、選手には心から感謝をしているところです。

 また、必ずメダルを取りたい、取ってくれるであろうという選手がたくさんいましたが、オリンピックというのは本当に難しいもので、メダルに手が届かず、そして自分自身が掲げた目標に達することができなかった選手もたくさんいました。でもその思いをフォローアップするように、選手がそれぞれの気持ちを受け継ぎながら、またその思いをしっかり受け止めて応援に回ってくれました。それが今回、国外開催の史上最多となる8個のメダル数と過去最高の28の入賞数を達成することができました。これも皆さま方の応援のおかげと感謝しております。

(目標を)達成できた選手はこれからさらに高い目標に向かって、そして目標を達成することができなかった選手については、それぞれの種目が終わったその後から、すぐに平昌(ピョンチャン)に向けての強化対策を現地で進めてまいりました。下村(博文)文部科学大臣をはじめ、文科省の皆さまにごあいさつに伺ったところですが、国の強化対策も拡充しなければなりません。あるいはナショナルトレーニングセンターも、冬季のために拡充をしていく、あるいは競技別拠点を各地域に設けながら環境整備を整えていく。そして、チームゲームの選手たちは、海外に向けて遠征を増やして、国外での試合を増やさなければレベルアップはできない。コーチもプロ化を図って意識改革をしていくことも必要です。

 それぞれの中で今、早急に強化対策を打ち出しながら、今後2020年という目指すべき通過点だと思いますけれど、次のスポーツのあるべき姿を私どもはしっかりと6年間でプレゼンテーションをしていかなければと思います。結果も含めて、すべてが次への大きな希望を見いだすことができたソチでのチームジャパンだと思っています。スポーツ力が文化力に変わり、そしてこの国の希望にスポーツが中心となって、教育や医療や福祉や、あるいは環境は観光といった分野にまで及ぼすような、そういう力をこれからつけていくことで、より国民の皆さんがスポーツに関心を持つことができ、われわれのスポーツの環境も整っていくのではないかと思っております。あらゆる面での相乗効果がはかれるように、スポーツの振興と競技力の向上に全力を尽くします。

平昌に向けての新たなスタート

スノーボード男子ハーフパイプで銀メダルに輝いた平野歩夢(中央)と銅メダルを獲得した平岡卓(右) 【スポーツナビ】

古川副団長 雪の競技を担当させていただきました古川です。今回の雪の競技は、ノルディック複合の個人ラージヒルが雨でしたが、他の競技はほとんどが天気に恵まれたオリンピックだったという印象を受けております。雪の競技としては、トリノ、バンクーバーとメダルが取れなかった中で、今回は7個のメダルを取りました。私どもにとっては少しは氷の競技に恩返しができたのかなと思っております。橋本団長からもお話がありましたけれど、15歳の平野選手、そして平岡選手が初めて日本選手団にメダルをもたらしてくれました。そして“レジェンド”葛西選手が、41歳でメダルを取りましたが、雪の競技会場では象徴的なものになったと思っています。選手の中には、結果を出した選手、あるいは出せない選手もいましたが、私どもチームジャパンとしては、4年後の平昌に向かって新たにスタートを切っていきたいと思います。

伊東総監督 今回担当した氷上競技では、フィギュアスケートの羽生選手が2大会ぶりに金メダルを獲得しまして、大変うれしく思います。また、フィギュアスケート男子では、町田(樹)選手も健闘し、2大会連続で参加3名が全員入賞。フィギュアの女子は残念ながらメダルには手が届きませんでしたが、素晴らしい演技をして最後はみんなに感動していただいたと思います。また、新採用のフィギュアスケート団体では、メダルを狙いに行きましたが、最初のショートプログラムは通過したものの、残念ながら5位という結果で、一歩メダルには及びませんでした。

 スピードスケートは、メダルの期待が懸かりましたが、男女500メートル、女子パシュートとも、もう一歩のところでオランダを中心とした外国勢に阻まれ、メダルを獲得できませんでした。今回のスピードスケートにおいては、オランダ勢が個人種目の7割以上のメダルを取ったということで、今後はオランダ対各国という構図になると思っています。またショートトラックでは、1種目もA決勝に進めず、厳しい結果となりました。このスケート競技においては特に反省と検証をしっかり行い、次の平昌に向けて対策を打ち出したいと思います。

 4大会ぶりに出場したアイスホッケーでは、強豪相手に惜しい試合をたくさん重ねたと思っております。次の大会へ必ずつながっていくと思います。それから最後に出場権を獲得したカーリングですが、世界ランキング上位を数々打ち破り、過去最高の5位となりました。カーリングでもさらに強化対策を打ち立てて、ぜひ次の平昌でメダルに手が届くところまで頑張っていただきたいと思っています。いずれにせよ氷では、羽生選手の金メダル1個ということで、平昌では、しっかり雪の競技に恩返しができるように強化対策を打ち立てて、頑張っていきたいと思います。

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