真央、記憶に残る4分間=澤田亜紀のフィギュア女子FS解説
女子フリーの演技を終え、声援にガッツポーズで応える浅田真央=ソチ 【共同】
優勝はSP2位から合計224.59点で逆転したアデリナ・ソトニコワ(ロシア)。地元ロシアに初の女子フィギュア金メダルをもたらした。史上3人目の連覇を狙ったキム・ヨナは219.11点で銀メダル、27歳ベテランのカロリーナ・コストナー(イタリア)が216.73点で銅メダルだった。
日本の鈴木明子(邦和スポーツランド)は186.32点で8位入賞。村上佳菜子(中京大)は170.98点で12位だった。
全6種類の3回転ジャンプにチャレンジした浅田の滑りは。金メダルのソトニコワと銀メダルのキム・ヨナの、優勝を分けたポイントとは。
元選手の澤田亜紀さんに解説をしてもらった。
真央、力みなく全ジャンプ着氷
演技を終えて思わず涙。そして笑顔を見せた浅田 【写真:ZUMA Press/アフロ】
ジャンプは回転不足があったのがもったいなかったです。でも見た目にはあまり分からないくらいでした。トリプルアクセルが着氷したので、このままいけるかなと思ったのですが。あえて言うなら、つま先が早く着氷したようには見えたので、そのあたりをどう取られたかでしょうか。ただ回転不足などを決める技術審判は3人いて、その多数決で判定を出します。だから1人だけの意見で判定が出ているわけではありません。
ステップシークエンスの出来栄え評価も、9人の審判のうち3人が最高の「3」を付けています。後半に向けてどんどんスピードに乗って、エネルギーのある演技で、そこが評価されていると思います。
今日に関しては最初から体が動いていました。演技開始直後の片足でポーズを取るところの表情を見ても、力みがなくいい感じに力が入っていました。浅田選手の演技でのキーポイントはトリプルアクセルですが、トリプルアクセルはちょっとした力の強弱で回転のかかり具合が変わります。今日は良い具合に入っていて、演技後もすがすがしい表情をしていましたね。演技構成点はもう少し出てもいいかなという印象でした。
本当に“これが浅田真央”という記憶に残る演技でした。浅田選手は本当にいい選手で人懐こくて、すごく応援したくなる選手です。今日の演技を見て、うれしくて泣きそうになりました。
また今回は3回転ジャンプを8度入れました。体力も必要ですが、できるジャンプを出しきりたいという意識が表れたプログラムだと思います。勝ちにいくプログラムだと、得意なジャンプばかり入れてしまいがちです。でも浅田選手は全然逃げないで、できることを全部出しきって、悔いのない、攻める演技でした。集大成の五輪でやりきったと思います。
鈴木明子、転倒あるもスピード感ある演技
鈴木、転倒あるもスピードに乗った演技を披露した 【写真:AP/アフロ】
両足の小指をケガしているという報道も見ましたが、言い訳をせずにけがも実力として受け止めて演技していたのではないでしょうか。3回転トゥループが入っていないのは(そのせいかもしれませんが、演技全体ではケガをかばっているようには見えなかったです。
村上佳菜子、少し疲れも?
19歳の村上、少し疲れも 【Getty Images】
自分自身でプレッシャーをかけ過ぎてしまうところがありますが。追う立場になったときはすごく強いです。今回はSPは悪かったのですが、いい経験になったと思います。
FSの演技は、表情、ステップは良かったのですが、ラストのスピンは少し疲れてしまったかもしれません。ところどころ回転が遅くなっていました。スピンは、スケート靴の刃のうちで、バランスを取るのに一番良いポイントに乗るときれいに回れます。でも疲れてくると集中力がなくなって、そのポイントに意識が持てなくなることもあります。それも経験なんだと思います。