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真央16位 痛かった「3回転ループ」のミス
澤田亜紀のフィギュア女子SP解説
浅田真央はまさかの16位。得点を下げた要因は
浅田真央はまさかの16位。得点を下げた要因は【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 ソチ五輪のフィギュアスケート女子ショートプログラム(SP)が現地時間19日(日本時間20日)に行われ、前回バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央(中京大)は自己ベストを20点以上下回る55.51点で16位発進となった。日本勢は鈴木明子(邦和スポーツランド)で60.97点の8位、村上佳菜子(中京大)は55.60点で15位だった。

 首位は前回優勝のキム・ヨナ(韓国)で74.92点、2位には地元ロシアの17歳、アデリナ・ソトニコワが74.64点で入った。3位はイタリアのカロリーナ・コストナーで74.12点。団体戦で注目を浴びた15歳のユリア・リプニツカヤ(ロシア)は65.23点で5位だった。

 浅田は最初のトリプルアクセルで両足着氷となり転倒、2つ目のジャンプの3回転フリップは回転不足のジャッジ。また得点が1.1倍になる後半の3回転ループ−2回転ループは最初のジャンプが2回転となり、連続ジャンプにできず。ジャンプのミスが得点に響き、思わぬ順位となった。


 浅田のジャンプミスの理由、そのなかでも光った表現力とは。そして上位につけた選手から見る、金メダル候補は!? 元選手の澤田亜紀さんに話しを聞いた。

真央、得意の「ループ」でまさかのミス

演技後、キス&クライで肩を落とす浅田(中央)
演技後、キス&クライで肩を落とす浅田(中央)【写真:ロイター/アフロ】

 日本の3選手は1つずつジャンプがパンク(空中でジャンプ姿勢が開いてしまうこと)してしまいました。残念ですが失うものがないので、FSでは力を出してほしいですね。

 浅田選手の(転倒した)トリプルアクセルですが、ジャンプの浮き上がりは良かったと思います。ただ体を開く(ジャンプ体勢から元に戻す)のが遅くなってしまったのかもしれません。降りたときに腰が曲がっているというか、引けた姿勢になっていたので、そのまま耐えられずに転倒してしまったのかなと思います。

 3回転フリップにも回転不足がつきましたが、確かに跳んだときに「もしかしたら……」とは思いました。明らかな回転不足という感じではありませんでしたが、今は技術審判の方がスロー映像を見て判定するので、それで見た場合、回転不足ということになったんだと思います。あえて言うなら、いつもよりもジャンプの“浮き”が足りなかったような気はしましたが、その辺は際どいところですね。


 最後のミス、3回転ループ−2回転ループの連続ジャンプ予定が2回転ループの単発ジャンプになった部分は、本当に珍しいミスでびっくりしました。1本目の最初は上手く回っていましたが、空中で回転するなかでズレが出てしまった。ジャンプの入りは全然良かったのですが、空中で(腕で体を締めて)細い軸をつくろうとして、それでかえって力んでねじれてしまった感じでした。ジャンプはすべて(左回転の場合)右足が軸になるので、右足で跳び上がり、そのまま右足を軸にして回転します。でも締め過ぎたからか左に開いてしまっていた印象です。(2本目を跳べなかったが)ああなると次にループジャンプを付けるのは難しいです。


 1本目の3回転が2回転になった後、2本目に3回転を跳んで連続ジャンプにできればよかったのですが、本当に普段はしないミスなので、少し混乱して、何をしていいのか分からなくなったのではないでしょうか。浅田選手はループジャンプが得意な印象があります。トリプルアクセルはミスを想定して練習をしていると思いますが、ループでまさかミスするのは思っていなかったと思います。でもあぜんとしたなかでも、次のステップで「レベル3」(※注:最高評価はレベル4)の滑りをして加点ももらっているので、「ヤバい」と思いつつも、表現力でカバーできるのはさすがです。いつもに比べれば、演技に入り込めていない感じはありましたが、ステップは体が覚えこんでいるくらい練習をしていると思いますから。


 ジャンプミスは残念でしたが、表現はすごく出ていて良かったです。もちろんジャンプが得点源なので(失敗してしまった分)、全体の得点が伸びませんでしたが、演技構成点(芸術性などを評価)だけだと全体の4位でした。ミスがあると点数に響きがちですが、ミスがあったなかでもきちんと評価してもらえたと思います。

(トリプルアクセルで)転倒はしましたが、ステップや技のつなぎもいつもと同じようにできていました。ミスをするとそのことがショックで、やってしまったことが気になって、その後の演技の表現がおろそかになってしまうことがあるのですが、そこは切り替えて、取れるところで取り返そうとしている感じがしました。


 FSへは、あとは上を見るだけです。集大成の五輪として、結果はともかく、自分も満足できて、周りからもあの演技は良かったねと言ってもらえるような、記憶に残るような演技をしてほしいですね。

着実に持っているものを出したキム・ヨナ

安定の演技で首位に立ったキム・ヨナ
安定の演技で首位に立ったキム・ヨナ【Getty Images】

 6分間練習の時は険しい顔をしていたので、どうなるかと思いましたが、大舞台でも今持っているものを淡々と出したなと思います。レイバックスピンが「レベル3」の評価で、最高評価より1段下でしたが、最初からそれを狙っていたのではないかと思います。最高難度のレベル4を取るためには、今行っているレイバックスピンに加えて、インクリーズ(Increase)と言って回転速度を徐々に上げることや、ビールマン姿勢が必要なのですが、それがなかったので。

 キム・ヨナ選手は腰を痛めていたと思います。レイバックのように上体を反った姿勢で高速回転のスピンをするのは、かなり腰に負担がかかります。レベルを1つ下げてでもそれは避けて、確実に出来栄え点を取ろうという作戦だったのではないでしょうか。実際に、レイバックスピンはレベル3ですが、審判からの評価もマイナスはもらわず、加点がもらえています。


 3回転ルッツ−3回転トゥループは、相変わらずジャンプ幅のある、いい3回転−3回転でした。SP2位につけたソトニコワ選手は高さのある3−3、キム・ヨナ選手は幅のある3−3で対照的ですね。タイプの違う3−3ですが、どちらも評価はされると思います。

 幅のある連続ジャンプを跳べるのは、スピードを上手く利用できていて、跳び方が上手いということ。キム・ヨナ選手の3回転ジャンプの1本目はルッツなので、右足をつきます。それでもその足でガリガリと氷に引っ掛けずに跳び上がり、跳んだ後もきちんと足を乗せられています(両足を跳びやすい形にできる)。目立った“穴”はないかもしれません。メンタルが強いんだなとも思います。

 会場で見ていないので分かりませんが、演技構成点はもう少し出ても良かったかなと思いました。技術点は、迫力がある技や、何かの点がドーンと目立つわけではありませんが、全体的にきれいで、これくらいの点数だと思います。

構成:スポーツナビ

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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