バレンティン、本塁打減も三冠王!?=飯田哲也氏「逮捕騒動も問題なし」

構成:スポーツナビ

バレンティンを生かすも殺すも畠山とミレッジ次第

飯田氏は、今季のバレンティンについて、三冠王の獲得を予想。そのカギは「集中力」だと指摘した 【写真は共同】

――バレンティンの成績の特徴として、この3年間どんどん打撃の成績が上がっていっていますが?

 日本の野球への慣れもあるでしょうし、彼は配球を読むようになりましたね。オレにはストレートはないだろうとか、この場面はストレートで押してくるだろうとか。自分なりに勉強して、彼なりに配球を読む力が付いたと思いますね。
 あとは当初はブンブンと力任せだったスイングがコンパクトになりましたね。あれだけ力があるので、大振りしなくても、ジャストミートさえすれば飛んで行くということを感じたんだと思います。もともと練習では逆方向にホームランを打っていますから。日本の球場だったらミートすれば柵越えできる、ボールに逆らわずに打てば入るということに本人も気付いたと思うんですよね。

――昨年は120試合以上4番を打ちましたが、今キャンプでは3番転向案も出ています。

 それについても監督に聞いたんですけど、4番だと歩かされてしまう、と。後ろのバッター次第なんですけど。昨年の場合は後ろのバッターがポイントゲッターにならなかったので、3番に置いて4番、5番と良いバッターを置けば歩かされる確率が減るんじゃないか、という考えでした。

――今年、飯田さんが考えるヤクルトの理想のクリーンアップを教えて下さい。

 畠山と(ラスティングス・)ミレッジがキーになりますね。やっぱりバレンティンは4番が良いと思うんですけど、3番は川端(慎吾)で、バレンティン、畠山、ミレッジと続いて、バレンティンの後ろ2人がしっかりと成績を残せれば打線が厚くなると思います。バレンティンを生かすも、殺すも後ろの畠山とミレッジ次第ですね。

 キャンプでも畠山がコーチ付きっ切りでバッティングを必死にやっていましたからね。畠山が復活しないことにはヤクルトも上昇しないと思うので。今まで見たことないぐらいに必死にバッティングをやってたのも、その自覚の表れだと思います。

体調も技術面も問題なし!集中力だけがカギ

――ちなみにですが、昨年2月のこの時期ではどの程度打つことを想定していましたか?

 それなりに打つとは思いましたけど、まさか60本打つとかの予感はなかったですね。昨年は50本を超えてからも投手たちが勝負してくれたことが記録につながったんだと思うんですよね。今までだったら四球、四球って、日本記録だった55本を超せさせないというのはあったと思うんですけど、そういうのがなくてどんどんストライクも投げてくれるし、彼もそれでモチベーションが上がっていったと思います。ピッチャーも逃げたら逃げたで何言われるか分からないですしね(笑)。

――今年はバレンティンへかかる期待度のハードルが高くなりますが?

 僕は今年はホームランは減ると思いますよ。昨年以上に勝負してくれなくなりますからね。みんなホームランを期待するでしょうけど、四球が増えると思います。

――ずばり今年は何本打てますか?

 そうですね……40本ぐらいじゃないですか。打率はその分上がると思うんですけど。四球が増えて出塁率は4割を超えちゃうと思うんですけど、ホームランは絶対減りますね。

――むしろファンの楽しみはホームラン数よりセ・リーグ久々の三冠王(セ・リーグでは1986年・阪神のランディ・バースが最後)ですか?

 60本超えるよりは三冠王の方がよほどあると思いますね。ブランコ(横浜DeNAベイスターズ)というすごい強敵もいますけどね。ブランコが打点を挙げられるのも前のバッターが塁に出てくれるからなんで。DeNAにはブランコの後に良いバッターもいっぱいいますから。三冠王を取るとしたら打点の争いになるとは思いますね。
 バレンティンはホームラン打つ力はあるので、ストライクを投げてくれるかですよ。そこがポイントですよね。彼の性格上、ボールを投げられ始めたらイライラしだすので、それもホームランにしてやろうと思ったらきついですね。イライラしだしたら向こうの術中にはまりますから。どこまで本人が我慢して四球を取るのか、無理に打って凡打になるのか。そこで集中力が切れると打率も下がるし、ホームランも減るし……。昨年も55本を超えてからそういうイライラがちょっとあったんですけど、周囲が「ストライクを打て、我慢しろ、我慢しろ」って言っていましたから。そこで何とか切り替わって、また打ち出しましたからね。本当にバレンティンは集中力だけが問題だと思いますね。

<了>

飯田哲也(いいだ・てつや)

飯田哲也氏 【スポーツナビ】

1968年5月18日生まれ。東京都出身。拓大紅陵高から86年ドラフト4位で捕手としてヤクルトに入団。プロ4年目に当時の野村克也監督に俊足と強肩を見込まれて外野手へ転向した。すぐにレギュラーに定着すると、91年から7年連続ゴールデングラブ賞を受賞。92年は33盗塁で盗塁王とベストナインを獲得した。2005年に東北楽天へ移籍し、06年に現役を引退した。07年から古巣・ヤクルトの2軍外野守備・走塁コーチ、08年から13年まで1軍の守備走塁コーチを務めた。

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