羽生「プルシェンコのような強い選手に」=フィギュアスケート男子・メダリスト会見

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記者会見で金メダルの喜びを語る羽生結弦 【写真は共同】

 ソチ冬季五輪のフィギュアスケート男子フリースケーティングから一夜明けた現地時間15日、同種目では日本男子史上初、また今大会の日本勢初の金メダルを獲得した羽生結弦(ANA)がジャパンハウスでメダリスト会見を行い、偉業達成の喜びを語った。

 羽生は「金メダルという素晴らしい評価をいただいたことを誇りに思う」と笑顔を見せ、前日のフリーの演技での失敗については「“五輪の魔物”を少し感じた気がした」と振り返った。また、会見の冒頭では、安倍晋三首相が国際電話で羽生を祝福した。

 以下、メダリスト会見の要旨。

“五輪の魔物”を少し感じた気がした

――メダル獲得から一夜明けた今の心境は?

 まず、日本のフィギュアスケート男子シングルで初めて、こうやって金メダルを取ることができて本当にうれしいなと思います。また同時に、日本人として、日本国民として最高の舞台でたくさんの応援をいただいて、その中で最終的には金メダルという素晴らしい評価をいただいたことを誇りに思います。これからも日本国民として恥じない、五輪金メダリストらしい、日本人らしい人間になれるように努力していきたいと思いました。

――首相から祝福を受けたが

 とても緊張しました。首相もたくさん応援してくださったと思っていますし、(持病の)喘息(ぜんそく)のことも心配していただいたので本当にうれしかったです。これで競技が終わったわけではないですが、これから一生懸命頑張らないといけないと思いました。

――昨夜の時点では悔しさ半分、うれしさ半分だったと思うが、一夜明けて今は?

 今回の金メダルは本当にうれしいです。日本男子シングル初めての金メダルが僕で、日本女子で初めての金メダルが同じ宮城県出身の荒川(静香)さん。自分では(荒川さんに続いて金メダルを取ることを)夢を見ていて、それをずっと追いかけてきたので、本当にそれが実現したんだなと。あまり実感は湧いていないのですが、その夢がかなってうれしいです。
 
 ただ、昨夜のフリーの演技では五輪の本当の怖さ、“五輪の魔物”というものを少し感じた気がしました。まだまだ僕自身現役を続けたいと思っているので、これからも大好きなスケートとともに一生懸命頑張りたいなと思いました。

フィギュアは自分自身との戦い

――五輪の舞台でそこまでの演技ができたのは、日本国内で過酷な戦いをしてきたからか?

 僕はそう思います。やはり全日本選手権という舞台を勝ち抜いてきたからこそ、こうやっていい演技ができたと思います。また、今シーズンを通して日本男子のみならず、グランプリシリーズ全試合でパトリック(・チャン=カナダ)選手と戦ってきました。彼と試合をこなすたびに、自分がどうやったら超えられるか、どうやったら自分の能力を最大限に発揮できるかを1つ1つ考えてきたので、それが今回の五輪という舞台にも通用したのかなと思います。ただ、フリーはまだ難しかったです。

――被災地から「励みになった」という声が多く聞かれるが、どう思うか?

 被災地の方々、日本国民の方々もそうだと思いますが、こうして僕が金メダルを取ることによって日本も活気づいたらいいなと思います。仙台出身の人間のひとりとして、仙台人として金メダルを取ったからこそ、何かそれをきっかけに復興に対するものを踏み出していただけたら、それが一番うれしいです。もうボランティアの方々による募金とかもだいぶ途絶えてきてしまったので。

――練習中は当日もリラックスている感じに見えたが、いつ怖さに変わったのか?

 きっかけはなかったと思います。でも、結果的にあの演技をしてしまったというのはすごく後悔しています。こうして金メダルを勝ち取ることはできましたが、自分の能力、自分の実力を大きな舞台で発揮できなかった……。やっぱりなんか緊張しました。あらためて難しい舞台だと痛感させられました。

――(フリーは)レベルを下げて安全運転するという選択肢もあったが、4回転サルコウに挑戦した理由は?

 今シーズンを通してずっとやってきたので、それを変えたくないという思いがありました。例えば対人競技、スピードスケートだったりショートトラックだったりは、相手によって何かを変えていかないといけないことがあるかもしれません。五輪だから特別に何かをやるというのはあるかもしれないです。フィギュアは自分自身との戦いなので、自分がどれくらい精いっぱいのことができるか、全力を出し切れるかというのがフィギュアスケートで一番大事なところだと思っています。特に五輪だから何かを変えるかとか、何かをするかということではなく、五輪を1つの試合として全力を出し切りたいと思ったのでやりました。

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