希望はあるか? 原点に立ち返って走り抜け=3連敗のスマイルジャパンを解説
日本はドイツに敗れて3連敗。順位決定戦では五輪初勝利を挙げられるか…… 【写真:ロイター/アフロ】
スマイルジャパンは3試合を戦い、得点1・失点7の数字が示すように、得点力不足に加え、毎試合失点と守備にも課題を抱える。残るは2試合、五輪初勝利を挙げるべく、どう戦えばいいのか。元女子日本代表監督で、女子チームの強豪SEIBUプリンセスラビッツを率いる八反田孝行監督が解説する。
第1ピリオドの失点、反省生かされず
おまけに、第2ピリオドは開始48秒での失点。コーナーの攻防であっさり負けると、ゴール前でフリーの選手にパックが渡って決められてしまいました。バックハンドで肩越しを狙ったいいシュートでした。立ち上がりの5分はより集中しなければいけないのに、これまでの反省点が生かされてません。いいプレーもたくさんしているんですが、もったいないですよ。
エース久保の奮起が必要不可欠
この試合、FWのセットを少しいじって、ファーストラインを久保英恵・大沢ちほ・中村亜実に変更してきました。これはおそらく得点を取るための変更と見ていいでしょう。ただ、ロシア戦の第3ピリオドは久保のセットが機能し始めていたので、もう少し我慢してもいいのかなと思いました。第1戦、第2戦はそれほど悪い戦いというわけではなく、FWとDF、チーム全体のバランスも取れていました。なので、思い切って変えてきたなと。
そこには久保を何とかしなければ、という狙いがあったのかなと思います。やはりエースがもっと絡んでこないと日本は厳しい。ゴール前に顔を出して、自分でシュートを打つ、あるいはパスを回すなど、存在感を発揮してほしいですね。この試合では、中村・大沢・獅子内美帆がチャンスを作っていましたが、そこに久保が絡んでほしい。最低限の仕事はしていましたが、日本のエースと誰もが認める存在ですから、結果が求められます。勝つためには、彼女にはもっと果敢にゴールを目指してもらわないと。それができれなければ、正直、日本が勝つのは難しい。エースの奮起は必要不可欠です。
正攻法ではなく意表を突いたプレーも
こうすればゴールを奪えるという保証はないですが、正攻法だけでなく、意表を突いたプレーで相手を惑わしてほしいですね。パスの出しどころを迷って、苦し紛れのシュートを打ったりしていますが、もっとゴール前に切り込んでもいいと思います。そこで入らなくてもリバウンドを狙う、強引にいって反則をもらう、という形もあります。スピード、しつこさを生かして、何度も何度もゴールに向かってトライしていくしかないでしょうね。それをやって打開できなければ、その倍以上をやっていく。これに尽きると思います。
次は中2日で順位決定戦です。まずはしっかり休んで、コンディションを整えること。今日は精神的にかなり落ちていると思うので、リフレッシュして次に向けて気持ちを奮い立たせることが大切です。日本の生命線は、走って、走って、走ること。走り抜いてチャンスをつかむしかないので、もう一度原点に立ち返って、貪欲にゴールを狙ってほしいです。
<了>
八反田孝行
SEIBUプリンセスラビッツ(旧国土計画・コクドレディース)監督。現役引退後、同クラブのコーチ、監督を歴任し、全日本選手権優勝5回、準優勝10回に導く。2012年には第1回女子日本アイスホッケーリーグ初代王者に輝いた。13年は連覇を達成。日本代表では92年からコーチを務め、98年長野五輪を経験。99年に監督に就任すると、アジア大会、世界選手権などの国際大会でチームを率いた。02年ソルトレークシティー五輪出場を懸けた予選で敗退し、代表監督の座から退いた。
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