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希望はあるか? 原点に立ち返って走り抜け
3連敗のスマイルジャパンを解説
日本はドイツに敗れて3連敗。順位決定戦では五輪初勝利を挙げられるか……
日本はドイツに敗れて3連敗。順位決定戦では五輪初勝利を挙げられるか……【写真:ロイター/アフロ】

 ソチ冬季五輪のアイスホッケー女子日本代表(愛称スマイルジャパン)は13日(現地時間)、予選リーグB組の最終戦で世界ランク9位のドイツに0−4で敗れ、3連敗を喫した。日本は16日からの5−8位決定戦に回る。

 スマイルジャパンは3試合を戦い、得点1・失点7の数字が示すように、得点力不足に加え、毎試合失点と守備にも課題を抱える。残るは2試合、五輪初勝利を挙げるべく、どう戦えばいいのか。元女子日本代表監督で、女子チームの強豪SEIBUプリンセスラビッツを率いる八反田孝行監督が解説する。

第1ピリオドの失点、反省生かされず

 非常に残念な結果ですね。ゲームの内容は悪いと言わざるを得ないです。立ち上がりはロシア戦同様、日本のペースで進み、ドイツがあまりガツガツ来なかったのでチャンスでした。にもかかわらず、ペナルティーキリング(1人少ない状態)で失点です。せっかく自分たちのペースで進められていたのに、いとも簡単に決められてしまったのは痛いです。3試合すべて第1ピリオドでの失点。ゴールはできなくても、せめて0−0でいければ……。そのチャンスはあったと思います。


 おまけに、第2ピリオドは開始48秒での失点。コーナーの攻防であっさり負けると、ゴール前でフリーの選手にパックが渡って決められてしまいました。バックハンドで肩越しを狙ったいいシュートでした。立ち上がりの5分はより集中しなければいけないのに、これまでの反省点が生かされてません。いいプレーもたくさんしているんですが、もったいないですよ。

エース久保の奮起が必要不可欠

 試合前に懸念していたことがあるとすれば、この試合が持つ意味です。決勝トーナメント進出が絶たれたため、勝っても負けてもその後の状況は大きく変わりません。順位決定戦の相手を想定すると、ひょっとしたらこの試合は負けた方がいいのかもしれない、A組の3位(フィンランド)と4位(スイス)、あるいはB組の1位か2位、どこと戦えばいいのか……といった計算が働くと、プレーに影響が出るかもしれないと思っていました。もちろん、監督や選手はベストを尽くして勝利を目指していたはずです。ただ、試合を見る限り、どこかまったりというか、必死さが足りない、という印象を受けました。


 この試合、FWのセットを少しいじって、ファーストラインを久保英恵・大沢ちほ・中村亜実に変更してきました。これはおそらく得点を取るための変更と見ていいでしょう。ただ、ロシア戦の第3ピリオドは久保のセットが機能し始めていたので、もう少し我慢してもいいのかなと思いました。第1戦、第2戦はそれほど悪い戦いというわけではなく、FWとDF、チーム全体のバランスも取れていました。なので、思い切って変えてきたなと。


 そこには久保を何とかしなければ、という狙いがあったのかなと思います。やはりエースがもっと絡んでこないと日本は厳しい。ゴール前に顔を出して、自分でシュートを打つ、あるいはパスを回すなど、存在感を発揮してほしいですね。この試合では、中村・大沢・獅子内美帆がチャンスを作っていましたが、そこに久保が絡んでほしい。最低限の仕事はしていましたが、日本のエースと誰もが認める存在ですから、結果が求められます。勝つためには、彼女にはもっと果敢にゴールを目指してもらわないと。それができれなければ、正直、日本が勝つのは難しい。エースの奮起は必要不可欠です。

正攻法ではなく意表を突いたプレーも

 それと、パワープレーのチャンスをつかんでもゴールを奪えていないという指摘もあると思います。この試合でも5回のパワープレーがありながらモノにできませんでした。これは相手が日本をよく研究しているという側面もあると思います。床亜矢可がいいシュートを持っているから、と自由に打たせないように守っていました。日本としてはその裏をかくプレーが欲しい。これまで遠めからのシュートを打って、ゴール前で角度を変える、リバウンドを狙うパターンが多かったんですが、シュートを打つと見せかけてパスをつないで勝負する、という工夫も必要でしょう。


 こうすればゴールを奪えるという保証はないですが、正攻法だけでなく、意表を突いたプレーで相手を惑わしてほしいですね。パスの出しどころを迷って、苦し紛れのシュートを打ったりしていますが、もっとゴール前に切り込んでもいいと思います。そこで入らなくてもリバウンドを狙う、強引にいって反則をもらう、という形もあります。スピード、しつこさを生かして、何度も何度もゴールに向かってトライしていくしかないでしょうね。それをやって打開できなければ、その倍以上をやっていく。これに尽きると思います。


 次は中2日で順位決定戦です。まずはしっかり休んで、コンディションを整えること。今日は精神的にかなり落ちていると思うので、リフレッシュして次に向けて気持ちを奮い立たせることが大切です。日本の生命線は、走って、走って、走ること。走り抜いてチャンスをつかむしかないので、もう一度原点に立ち返って、貪欲にゴールを狙ってほしいです。


<了>


八反田孝行

SEIBUプリンセスラビッツ(旧国土計画・コクドレディース)監督。現役引退後、同クラブのコーチ、監督を歴任し、全日本選手権優勝5回、準優勝10回に導く。2012年には第1回女子日本アイスホッケーリーグ初代王者に輝いた。13年は連覇を達成。日本代表では92年からコーチを務め、98年長野五輪を経験。99年に監督に就任すると、アジア大会、世界選手権などの国際大会でチームを率いた。02年ソルトレークシティー五輪出場を懸けた予選で敗退し、代表監督の座から退いた。

構成:スポーツナビ

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

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