「松井秀喜×巨人」が生んだ化学反応

構成:スポーツナビ

巨人キャンプに臨時コーチとして参加した松井秀喜氏。「松井×巨人」の融合について、橋本清氏がリポートする 【写真は共同】

 13日、巨人キャンプに臨時コーチとして参加していた松井秀喜氏が全日程を終えた。12年ぶりの日本のキャンプとなった松井氏だが、期間中は1軍、2軍を問わず精力的に動き回り、自ら打撃投手やノッカーを務めたほか、9日にはフリー打撃に登場。22スイング中5本をスタンドインさせ、変わらぬ打棒にファンだけでなく、選手も熱視線を注いだ。日本一奪回を目指す巨人に、松井氏が起こした化学反応とは? プロ野球解説者で、巨人時代の同僚だった橋本清氏に話を聞いた。

光った松井秀喜の存在感

――巨人キャンプを訪れた感想を教えてください。

「松井秀喜」という男の存在感が光っていましたね。今の選手たちが小学生、中学生のとき、現役バリバリで活躍する松井氏をテレビで見ていたでしょう。その松井氏が目の前にいて、一緒に練習できるのだから、気の張り方、緊張感というのは、これまでの巨人キャンプとは違いましたね。雰囲気も締まっていましたし、集中力が非常にありましたね。

――松井コーチの指導について、選手たちの感想は?

 阿部(慎之助)選手は、アウトコースの球を逆方向に打つ際に、バットのヘッドがどんどん下がっていくことを気にしていたようです。そこで、今キャンプ、バットのヘッドを立たせるためにアウトコースの甘い球を右中間方向に引っ張るくらいの意識で振る練習をしていて、松井氏にこの取り組みについて話を聞いたそうです。すると、松井氏は「確かにそうだね」と返答したと言っていました。

 また、村田(修一)選手はホームランバッターなりの感想を話していました。ホームランを打とうとすると、どうしてもすくい上げようとアッパースイングになりますが、松井氏から「現役時代、上からたたいて打球を上げるスイングをしていた」と言われて納得したそうです。

 阿部選手や村田選手のようなレギュラー選手は、「松井秀喜というバッターはどういう感覚で、どういう考えで野球をやってきたかを感じたい」という視点で接していたようです。松井氏から特別何かを指導してもらうことを期待して接したのではなく、自分が心掛けてやっていることに対して、同意してくれたことによる納得感というか、やっていることの方向性が間違っていないという確認をしていたと思います。

 一方で、若い選手たちは教えてもらうことをすぐに実践に移そうとしていました。レギュラー選手、若い選手とも、それぞれの視点で松井氏から何かを受け取ろうと真剣に練習に取り組んでいましたよ。

 また、選手たちが共通して言っていたことですが、松井氏の指導は「シンプルで分かりやすい」そうです。だから、「非常に勉強になります」と口をそろえていました。

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