南部監督「世界トップと戦えるチームに」=バレーボール全日本男子監督就任会見

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南部監督「リオ五輪出場は大前提」

就任にあたり、抱負を語った南部監督。「守りから攻めに転じる技術を追求したい」とテーマを掲げた 【坂本清】

南部 この度、全日本男子の監督に就任することになりました南部正司です。今までは一企業チームとして全日本選手を輩出するという形で全日本に貢献してきました。他にも企業チームの監督として貢献できることはないかと考え、自ら海外に赴き役立つことはないかと勉強してまいりました。そういった中で、世界に挑戦しようという気持ちとかナショナルチームを率いたいという気持ちが強くなりました。

 今回、現状を考えますと、確かに厳しい状況です。今までの経験を生かして、なんとか復活に導きたいと思います。目標では、20年の東京五輪で世界のトップ4のチームと、対等に戦えるチームになってメダルが狙えるチームになっていなければなりません。そうなると、16年のリオ五輪には出場することが大前提であり、アジア1位に返り咲かなければなりません。まずは16年の五輪出場を目指して、力の限り全力を尽くして再建にあたってまいりますので、皆さんよろしくお願い致します。

守りから攻めに転じる技術を追求

――南部監督の掲げる一番のテーマは?

南部 テーマとして、日本が世界に誇れる長所は守りの部分。レシーブだと思います。ここをもう一度、世界一にしたいので強化を図ってまいります。そして、守りが良ければ相手に勝てるのか。そういうことではないと思います。やはり攻めなければ勝てない。

 私自身が今、強く信念として思っていることに「攻防一体」という言葉があります。相手の攻撃を防ぐ。守りから次の攻めに転じる技術を追求してチームを作っていきたいと考えています。

――16年五輪のOQTまで時間がない中での就任となったが?

南部 確かに、強化に残された2年半というのは少ないかもしれません。しかし、それまでには世界大会にチャレンジする機会が何度かあります。それ以外にも海外チームと対戦する方法はたくさんあるので、海外チームとの対戦経験をたくさん積むことによって必ず強化はできると確信しています。時間が短いのは承知の上で、覚悟して就任したわけですから特に問題とは考えておりません。

――前監督のバレーに対する印象と引き継ぐこと、加えていきたいことは?

南部 ゲーリー監督も日本を強くしようと考えてやっていたことなので、私からのコメントは控えさせていただきます。ある程度、世界との対戦データは整理していますので、トップチームと戦うための強化ポイントはいくつかあります。数値的にも出ていますのでそこを改善すれば、おそらくもう少し競った展開が作れると考えています。

 そうなれば、相手にもプレッシャーがかかってくるので相手の失点も増えてくるはずなんです。そこでどうなるかはこれから実戦で経験しなければ分からない部分がありますが、自分としてはそこに手ごたえがあるので重点的に強化していきます。具体的には先ほど言いましたサーブレシーブです。

海外経験を増やして足りない部分を補う

南部監督(左から2番目)は海外経験を増やしてメンタルなど足りない部分を補うつもりだという。新生全日本男子はどんなバレーを見せるのか 【坂本清】

――試合の局面では選手のメンタルが重要になる。全日本メンバーのメンタルをどう評価していて、これからどう強化・改善していきたいか?

南部 正直にいうと、現状で強いとは言えません。なぜかと言うと、海外チームとの試合が少ないからです。日本は世界で見ると位置的に強化が難しい部分もありますが、改善するためには世界を知ることです。メンタルが左右する部分としてサーブなどありますが、やはり実戦を通して慣らしていくということが大事です。日本の選手もいいサーブは打てるんです。国際舞台で慣らしていけば、必ず日本の選手でも重要な場面でいいサーブが打てると思います。

 実際、ロンドン五輪などを見ても、世界の強豪は20点以降の緊張した場面でも本当にいいサーブを入れてきます。そういったチームになるためには、そういったチームとしっかりと試合をこなすこと。相手との差を実感して、取り組むことが一番であり、そうすることによって選手たちもモチベーションを上げてくれると思います。海外経験をどんどん増やして足りない部分を補っていきたいと思います。

――選手起用のタイミングはどう考えている?若い選手の起用はあるのか?

南部 選手選考について私は、積極的に若い選手を選出していきたいと考えています。20年の五輪を考えると対象は今の中学3年生ぐらいまで入ってきます。そうなると、できるだけ早い段階で代表の環境を知ってもらいたいです。ただ、若い選手だけではチームはまとまりませんので、経験のある選手も呼びたいと考えています。最終的には自分の中で整理できていませんが、ある年齢を軸に置きながら若返りを図っていく。そういった人選を考えています。ただ、選手を見ていく中で必要だという選手がベテランだった場合は、チーム強化が第一なのでメンバーに入ります。

――プレミアリーグの最中だが、引き継ぎのタイミングは?

南部 これは私からすべては答えられません。

荒木田 ここは私から。リーグはもちろんなんですが、今年は男女とも黒鷲旗全日本選抜大会が終了してからの集合となります。それを踏まえて、南部監督にはパナソニックの監督として黒鷲の終了まではやっていただきます。ただ、5月の後半からはワールドリーグが始りますし、アジア大会などの手続きもありますので、メンバー選考や合宿計画などはお忙しいなか大変ですけど平行してやっていただく予定です。

<了>

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