バラオンvsユライア再戦 アルドV6戦=UFCダブルタイトルマッチ見どころ

WOWOW

ユライアはバラオンとの再戦を制し悲願のUFC王座戴冠なるか 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 現地時間2月1日に米国ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターで開催される「UFC169」(日本時間2月2日午後0時よりWOWOWにて生中継)。
 メインでは8年間無敗のバンタム級王者ヘナン・バラオンが、“カリフォルニア・キッド”ことユライア・フェイバーを挑戦者に迎え、王座防衛戦を行う。両者は1年半前に暫定王者決定戦で対戦しており、今回は因縁のリマッチとなる。
 セミファイナルでは、フェザー級の“絶対王者”ジョゼ・アルドが、日沖発を破ったリカルド・ラマスを挑戦者に迎えて防衛戦を行うという、今大会は豪華なWタイトルマッチだ。
 さらに、元K−1&DREAM王者のアリスター・オーフレイムも出場し、元UFCヘビー級王者の寝ワザ師フランク・ミアと対戦。“負けた方がUFC追放マッチ”を行う。これもまた見逃せない一戦だ。

バラオンに負けて生まれ変わったユライア

 もともと今大会では、負傷のため2年の長きにわたって欠場していた王者ドミニク・クルーズが、暫定王者バラオンと王座統一戦をするはずだった。だがクルーズは練習中にまたも負傷してしまったため欠場。王座を剥奪され、バラオンが正規王者に昇格した。
 そして、13年12月14日の「UFC on FOX 9」でマイケル・マクドナルドを破ったばかりのユライアが急きょ代打出場することになり、王者バラオンに挑戦することとなった。
 ユライアは前回の試合からのインターバルが1カ月半と短く、試合3週間前のオファーだったにもかかわらず、快諾した。
「デイナ(社長)からタイトル戦オファーの電話をもらったときは、信じられなかったよ」とユライアは言う。
「だけど、チャンスがあればつかむ、それが俺の流儀だ。それに俺は、常に練習してるし、コンディションもいい。今度こそ、UFCの王座をつかんでみせるぜ」

 前回バラオンとユライアが対戦した12年7月の「UFC149」でも、もともとはドミニク・クルーズが出場するはずだった。それまでクルーズとユライアの対戦成績は1勝1敗、“クルーズを破った唯一の男”がユライアであり、両者はUFCの登竜門番組TUFシーズン15でコーチを務め、シーズン終了後コーチ対決として、クルーズの王座にユライアが挑むはずだったのだ。
 だがクルーズが負傷欠場となり、急きょ代打としてユライアと暫定王座を争うことになったのがバラオンだった。

 この試合は大激戦となり、ユライアは1Rにアバラを骨折するという負傷を負いながらも5R戦い抜いたが、判定で涙をのみ、バラオンが暫定王者となったのだ。
 バラオンはその後、マイケル・マクドナルド、エディー・ワインランドを連破して2度の防衛に成功し、今回、正王者に昇格したわけだ。
 一方のユライアもバラオン戦後、2013年1年間で4連勝している。これはその年の全UFC選手中、最多勝利である。

 ユライア率いるチーム・アルファメールは打撃のコーチとして元K−1&UFCファイターのドウェイン・ラドウィック(UFCで須藤元気を破り、K−1で武田幸三をKO、魔裟斗とも対戦)を招き入れ、これによってユライア、チャド・メンデス、ジョゼフ・ベナビデスらチーム全員が打撃の精度を増し、結果を出している。
 ユライアに関して言うなら、2013年度の打撃的中率は61.9パーセントで、全UFC選手中最高である。
 そしてユライアは最近、柔術世界選手権4連覇&ADCC(サブミッション世界選手権)王者ルーベンス・シャールズ・“コブリーニャ”からも寝技特訓を受けている。
「前回のバラオン戦後、俺は態度を改めたんだ。もうチャンスを逃すことはできない。自分がどれほど恵まれてるかってことに気がついたのさ」とユライアは振り返る。
「その気持ちを取り戻したから、去年はいい結果を出せたんだ」
 ユライアはタイトル戦以外での負けがないが、ここ数年は、そのタイトル戦でことごとく負けてきた。マイク・ブラウン、アルド、クルーズ、バラオン……ほとんどが、あと一歩で及ばずの判定負けだった。
「今回は俺の精神状態が違う。新しい技を学び、最高の練習もできてるし、今の自分の状態を楽しめてるんだ」
 かつてのハングリーさを取り戻し、名コーチのもとで練習環境も向上したユライアは、バラオンの牙城を崩すことができるのか。

サワー、BJと特訓した王者バラオンはKO宣言

正規王者としてユライアとの再戦に臨む王者バラオン 【(C)Photo Courtesy of UFC】

 しかし王者バラオンは一筋縄ではいかない相手だ。何しろ、05年に18歳でデビューした試合で判定負けして以降は、26歳の現在まで8年間負け知らずで、33勝1無効試合という戦績なのだ。柔術黒帯で、14のサブミッション勝ちがあり、KO勝ちも7つ。まさにオールラウンドな王者だ。
 そして驚くべきことに、UFCでこれまで6戦しているが、ただの1度もテイクダウンされたことがないのである。
“軽量級最強軍団”と呼ばれるブラジルの名門ノヴァ・ウニオンに所属し、UFCフェザー級王者のアルドや、元戦極フェザー級王者マルロン・サンドロらと切磋琢磨していることも、強さの一因だろう。
 同ジムには、オランダから元K−1王者のアンディ―・サワーもやってきて、打撃の指導をしてくれる。バラオン自身もオランダに出かけ、サワーのジムや、元リングス・オランダのストライカー、ハンス・ナイマン(蹴りの軌道を途中でミドルからハイに変化させる“ナイマン蹴り”の使い手)のジムなどで打撃特訓をしている。
 そうした特訓の成果もあって、昨年9月のエディー・ワインランド戦では、バックスピン・キックで鮮烈なTKO勝利を飾った。

 さらに今回の試合前には、元UFCライト級&ウェルター級王者で柔術世界王者でもあるBJ・ペンがノヴァ・ウニオンに来ていたので、バラオンもBJと練習を積んだ。
「ドミニクとずっと戦いたかったんだ。俺が本物の王者だと証明したかったからね。でも代打がユライアに決まったと聞いたら、アドレナリンが出たぜ」
 前回の激戦を覚えているのだろう、バラオンは興奮気味に語る。
「俺こそが真のバンタム級王者だ。それを疑うヤツは今度の試合で思い知るだろう。今度はユライアをKOしてやる!」
 どちらも進化を遂げた名選手同士のタイトルマッチ。スタンドでも寝技でも、全局面において激戦間違いなしだ。

(文:稲垣 收――WOWOW UFC解説者)

◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆

★生中継!UFC−究極格闘技− UFC169 バンタム&フェザー級ダブルタイトルマッチ
バンタム級チャンピオンのヘナン・バラオンがUFCの人気者ユライア・フェイバーを迎え撃つ!フェザー級絶対王者、ジョゼ・アルドの6度目の防衛戦も。
2月2日(日)午後0:00〜[WOWOWプライム]※生中継
ゲスト:山本“KID”徳郁

<主な対戦カード>
<バンタム級タイトルマッチ>
[王者]ヘナン・バラオン
[挑戦者]ユライア・フェイバー

<フェザー級タイトルマッチ>
[王者]ジョゼ・アルド
[挑戦者]リカルド・ラマス

<ヘビー級>
フランク・ミア
アリスター・オーフレイム

★生中継!UFC−究極格闘技− UFC170 女子最強ロンダ・ラウジー登場&ライトヘビー激戦!
ロンダ・ラウジーとサラ・マクマンによる女子バンタム級の全勝対決が実現! 男子ライトヘビー級では元チャンピオン、ラシャード・エバンスがダニエル・コーミエを迎え撃つ
2月23日(日)午後0:00〜[WOWOWプライム]※生中継
ゲスト:石垣佑磨(俳優)

<主な対戦カード>
<女子バンタム級タイトルマッチ>
[王者]ロンダ・ラウジー
[挑戦者]サラ・マクマン

<ライトヘビー級>
ラシャード・エバンス
ダニエル・コーミエ

<ライト級>
ルスタム・ハビロフ
ハファエル・ドス・アンジョス

<ウェルター級>
デミアン・マイア
ローリー・マクドナルド

★UFC登竜門TUF 美女と野獣!?ダブルトーナメント
全米大ヒットのリアリティ・ショー、TUF。今シーズンは初の女子コーチ、男女混合合宿生活。UFCとの正式契約と10万ドルの賞金を掛けてガチンコバトルを繰り広げる!
12月2日(金)スタート!(全14回)
毎週月曜深夜0:00〜[WOWOWライブ]
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