余裕なかったジョコビッチ、4連覇ならず=全豪オープンテニス
ワウリンカ、前哨戦Vの自信が支えに
フルセットの末、大会4連覇を狙ったジョコビッチ(左)を破る金星を挙げたワウリンカ 【Getty Images】
2人の対戦はこれが18度目。このところジョコビッチの14連勝だったが、ワウリンカは昨年のこの大会、さらに全米オープンでもフルセットを戦い、勝利へあと一歩のところまで迫っていた。そうした手応え、さらには前哨戦のエアセル・チェンナイ・オープンでツアー優勝してきた自信が支えになった。
第2セットから強烈なサーブ、さらに片手打ちバックハンドからの鋭い切り返しでジョコビッチに立ち向かった。ラリーの主導権を先に奪って押し気味に進めた第7ゲーム、30−0からフォアハンドのウイナーを2本決め、このセットで唯一のブレークポイントでは26本のラリーの末にバックハンドのウィナーで決着をつけてブレークに成功。第3セットも好調のサーブを軸に優位に試合を進めるワウリンカに、ジョコビッチはリズムをつかめず、凡ミスが目立つ。第3、第5ゲームを立て続けにブレークされ、この2セットではついに一度もブレークポイントを握れない嫌な流れになった。
しかし、5セットマッチのフルセットで20勝7敗の実績を持つジョコビッチは、簡単に崩れない。第4セット、丁寧にラリーをつないでカウンターの脅しをかけながらチャンスをうかがった。少しずつ疲労が見えてきたワウリンカは、平均時速194キロ、最高時速219キロのサーブで苦境を脱していくが、さすがジョコビッチと思わせたのは第8ゲームだ。40−0から連続5ポイントを集中してブレークに成功し、どうにかセットカウント2−2に持ち込んだ。
ジョコビッチが賛辞「当然の勝利」
「今日は、少しだけ幸運が相手にいった。しかし、昨年は同じような試合で自分が運をもらっている。これがスポーツだ。ワウリンカは素晴らしい精神力で、当然の勝利だった」
ジョコビッチが心からの賛辞を送ったのは、昨年の2度の激闘を踏まえてのことだ。ワウリンカは、試合後のコート上でけいれんの足を抑えながら「すごく、すごく、すごく」と何度も繰り返し「うれしい」と声を詰まらせた。昨年の全米オープンに次いでグランドスラムでは2度目のベスト4。初の決勝進出を懸け、準決勝ではこの日、ダビド・フェレール(スペイン)を倒したトマシュ・ベルディヒ(チェコ)と対戦する。
女子シングルスでは、19歳の新鋭ユージェニー・ブシャールがアナ・イバノビッチ(セルビア)に逆転勝ちし、カナダ選手としては初めて全豪オープンのベスト4に進出。準決勝では昨年の準優勝者のナ・リ(中国)と対戦する。
<了>
(文:武田薫)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ