女王セリーナ敗退、8強逃す番狂わせ=全豪オープンテニス

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サーブの威力弱まり、ウイナーも少ない

イバノビッチに逆転負けを喫し、ベスト8入りを逃したセリーナ。背中を痛めた影響からか、女王らしさは見られなかった 【Getty Images】

 全豪オープンテニス第7日は19日、女子シングルス4回戦が行われ、世界ランク1位、第1シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)が第14シードのアナ・イバノビッチ(セルビア)に敗れる番狂わせが起こった。イバノビッチは4−6、6−3、6−3でセリーナを退け、ベスト8入りした。

 セリーナとイバノビッチの対戦成績は、セリーナの4戦4勝。ハードコートですべてストレート勝ちという、言ってみれば“カモ”だったはずだが、立ち上がりから女王らしさはまったく見られなかった。置きに行くようなサーブ、腰の引けたショット。第1セットの第1ゲームから防戦一方で、3度のジュースの末にようやくサービスキープする立ち上がりだ。

 ただ、イバノビッチも手探りするようにはっきりしない。第5ゲーム、セリーナの連続ミスから先にブレークしたものの、第6ゲームにラブゲームでブレークバックを許す。第1セット、セリーナの最大の武器であるファーストサーブの平均速度は時速169キロだった。イバノビッチの時速168キロとほとんど変わらなかっただけでなく、ミスの多さ(12本)よりもウイナーの少なさ(フォアは1本)が目立ち、イバノビッチが徐々に自信を深めた。第1セットは6−4でセリーナが奪ったものの、第2セットはイバノビッチが第5、第9ゲームをブレークして流れは一方的になった。

 セリーナは3回戦前に背中を痛めていた。酷暑の中で急きょ、姉ビーナスとのダブルスを棄権していたが、原因は姉ではなくセリーナ自身にあったという。試合後の会見でも初めはそのことを隠していたが、コーチからの証言があったと聞かされて故障を認めた。

「いつものように打てず、動けず、ミスも多かった。棄権も考えたけど、闘争心が強いから。でも、今日のアナのテニスは素晴らしかったし、私もベストを尽くした」

イバノビッチは姉ビーナス戦の経験が生きる

 セリーナは前哨戦のブリスベン国際で優勝して今大会に入ったが、イバノビッチも久しぶりにいいスタートを切っていた。開幕戦のASBクラシックで2年2カ月ぶりとなるツアー優勝を飾り、その時の決勝の相手がビーナス・ウィリアムズ(米国)だった。

「ケガのことは知らなかった。でも、オークランド(ASBクラシック)のビーナスの方が、今日のセリーナよりもずっと速いサーブを打っていたから、勝てるという自信を持てた」

 イバノビッチが第2セットから攻撃に転じることができたのは、ごく最近の実感があったからだろう。セリーナは第2、第3セットでは一度もブレークポイントまで持ち込めず、逆転負け。昨年の全米オープンから続いていた連勝は25でストップし、クリス・エバート(米国)、マルチナ・ナブラチロワ(旧チェコスロバキア)に並ぶグランドスラム通算優勝18回もお預けとなった。

 その他では19歳の新鋭で、日本でも人気のあるカナダのユージェニー・ブシャールが地元オーストラリアから推薦出場したケーシー・デラクアに逆転勝ちし、グランドスラムでは初のベスト8進出。準々決勝でイバノビッチとの「新旧美女対決」も興味深い。また、前回準優勝のナ・リ(中国)は危なげなく勝ち上がり、昨年の全米オープンで4強に入ったフラビア・ペネッタ(イタリア)と対戦する。男子は第2シードのノバック・ジョコビッチ(セルビア)、第3シードのダビド・フェレール(スペイン)、第7シードのトマシュ・ベルディヒ(チェコ)が順当に8強入りした。

<了>

(文:武田薫)
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