F1“主役”たちの動向 赤井邦彦の「エフワン見聞録」第20回

赤井邦彦/AUTOSPORTweb

イタリアで報じられた可夢偉の復帰

贈賄疑惑でF1運営会社の取締役を退いたバーニー・エクレストン。4月末と言われる判決次第では、F1全体を揺るがす事態となる可能性も大きい 【LAT】

 小林可夢偉がケータハムF1チームに加入したという記事が、イタリアの『オートスプリント』誌に掲載された。ただ、これもチームからの正式発表ではなく、すっぱ抜きの記事だ。真贋(しんがん)を確かめるためにケータハムF1チームのコミュニケーション担当に尋ねたが、「何か決まったら、一番に連絡する。日本にとって良いニュースだといいね」という返信が来ただけ。それ以上のことは書かれていなかった。でも、「日本にとって良いニュース」と言ってきているところをみれば、小林がケータハムと交渉していることは認めたことになる(周知の事実ではあるが)。しかし、ケータハムは昨年ランキング最下位に沈んだチーム。勝てる可能性のあるチームとしか契約しないと豪語していた小林は、なぜ心変わりしたのだろう? 尋ねてみたいところだ。

バーニーが引退!?

 それより何より、F1が大きく変わるかも知れない一大事が起こりつつある。F1全体を見れば小林の問題より、こっちの方がはるかに影響が大きいだろう。もうみなさんご存じの通り、バーニー・エクレストンがF1運営会社デルタ・トプコの取締役会から外れたというニュースである。

 彼は2006年にF1の商業権売買においてドイツ人銀行家のゲルハルト・グリブコウスキーに4500万ドルの賄賂を送った罪で、現在ドイツ・バーバリア州の裁判所に訴えられている。支払いに関してはエクレストンも認めているが、脅されて支払ったと理由を述べている。裁判の日程は決まっていないが、4月末の可能性が高い。

 エクレストンはこの問題が片付くまで取締役会から外れ、その間、会長のピーター・ブラベック・レトマスと副会長のドナルド・マッケンジーが契約問題などの事務をこなす。ただし、取締役会を外れたエクレストンだが、日々の業務は続けるとしており、F1から完全に去ることはない。

 だが、もし裁判でエクレストンの有罪が決まり収監されるようなことになれば、40年続いた彼のF1支配は終えんを迎える。これはF1にとって大きな損失で、F1運営会社のデルタ・トプコ、大口株主のCVCは早急に彼の後継者を探さなければならなくなる。このエクレストンの不在がF1にいかなる影響を及ぼすか、我々はしばらく静観することにしよう。

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著者プロフィール

赤井邦彦:世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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