村井氏「すべてを懸けて頑張りたい」 大東チェアマン 退任会見

スポーツナビ

課題は観客の減少傾向と高齢化

大東チェアマンは村井氏を「人材育成」と「アジア展開」を考えた適任者と紹介した 【写真は共同】

――今、Jリーグが抱える課題をどう感じているか?

村井 理事会の中でも、データを見たり、議論を重ねてきましたが、やはり観客が徐々に減少傾向にあるということ、しかもサポーターの方々の高齢化があると認識しています。代表は人気がありますが、Jリーグはもっと若い人や、初めてサッカーを見る人、新規の人をどう呼び込むかが一番の課題だと思います。

 そのために、大きなスタジアムやビッグネームを呼ぶことは簡単にはできないです。今できることは高校サッカーの決勝戦のように最後の最後まで全力で戦うといった日本のサッカーを示して、それを見ていただくということが一番大事だと思います。

――来季からは2ステージ制が始まるが?

村井 シーズンの山が増えることで、サッカーを見ていただくチャンスが増える。新規の方々がサッカーに触れる機会が増える。これが非常に大きなメリットだと思います。ただ、いきなりプレーのレベルが上がるわけではないので、この1年間本当に良いサッカーをしようとすることが大事。Jリーグを面白いなと思っていただいてリピーターになってもらうというのが私たちの描いている大事な世界観です。

――アジア戦略の持つ可能性は?

村井 アジア人はサッカーが大好きです。Jリーグがアジア主要国と関係ができると、日本企業の海外進出にとってサッカーは非常に有益な手段になると思います。札幌の例のように、アジアの選手が日本に来ることによって日本の地域が国際化してくる。子どもたちがアジアに目を向けるということに貢献すると思います、一方でJリーグとしてのビジネスモデルを確立するためにはもう少し考える必要があると思います。

――大東チェアマンに質問です。在任中の成果を見届けたい思いは?

大東 考えていたことが実現できる体制はできた。決めたことについて達成感があります。今後どうやっていくかはやはり時間がかかります。これはここでバトンタッチして新しい人に引き継いだほうがいいだろうという判断になりました。

1回のチャンスをつかまないといけない

――サッカー界独特の風習や慣習などは感じたか?

村井 出会うと必ず握手するのには違和感を覚えました。それ以外は理事会もほぼ外部の人がどんどん発言する場なのであまりないです。

――どういう姿勢・手法で運営に取り組もうとしているのか?

村井 私の姿勢はコミュニケーションです。徹底して丁寧に話を聞く、伝えるということです。最後に決めなきゃいけないところを決めるというのが私の立場だと思うので、議論を尽くした後、最後は私が決めます。

――最後まで諦めないことが大事だとあったが、長いリーグ戦だとつまらない試合も出てしまうと思うが?

村井 マーケティングだと、一度訪れたお客さんをそこでつかまないと次のチャンスはないということがあります。選手はリーグ戦を34節戦っていくと思いますが、お客さんにとっては1回だけということもあるので、すべてにおいて全力を尽くさないと駄目だと思います。そんなの無理だというかもしれませんが、1回のチャンスをつかまないといけない。これが今一番大事なことだと思います。

――新任の理事の中で村井さんが呼んだ人は?

村井 有森(裕子)さんは私からというか、直接お願いしました。大東さんと相談して私自身がサッカーの経験は無いのでサッカー、スポーツに見識がある方を入れてくれという話をしています。

――熱烈な浦和レッズのファンだと聞いているが今後もファンを続けるのか?

村井 近いので以前は駒場には行っていました。チェアマンになってからは51クラブのサポーターになります。ただ、浦和は観客動員も1番ですし、Jリーグ全体を引っ張る責任のあるクラブのひとつだと思いますので、厳しく期待はしたいと思います。ただ“熱烈な”というのは今日で終わろうと思います。

まずは現場に行きクラブの実情を理解

――シーズン移行についてはどういう考えか?

村井 シーズン移行に関してはこれまでも理事会でずいぶんと議論してきました。今後Jリーグが発展するためにヨーロッパと合わせることは重要だろうという基本方針は理事会で確認しています。ただヨーロッパも変わる可能性があるという話も聞いているので慎重に判断したいと思います。

――サッカー協会との関係はどうしていきたいか?

村井 協会に関してはまだあいさつもしていないです。まだなんとも言えないですけどJリーグの理念も協会の理念も豊かなスポーツ文化を作っていくというのは同じだと思っています。相反するケースも時にはあると思いますが、ちゃんと話をしていきたいと思います。

――次の方へのバトンタッチを考えた時期と、どういう手順だったのか?

大東 委員会の中で11月までに複数の人と今後の予定を話していました。複数の人の中から最終的には私の意思で村井さんに決めました。村井さんに伝えたのは11月の下旬です。

――12月に前職を退任されていますがチェアマンに就任するためでしょうか、また最初の仕事は?

村井 退任は決算期だったからです。世界の企業の決算は大体12月です。決算上の区切りだったから退任したということです。チェアマンとしての仕事は2月3日の休み明けからと聞いています。

――アジア戦略の青写真は?

村井 今のところないです。どういうプラン、どういうスキームでという具体的なものはまだ描いてないです。

――いろいろ課題がある中で最初は何から手をつけていく?

村井 まずは現場に行きます。スポンサーにも会います。事業をやっていたときも、真っ先にお客さんや支社の人に会いましたので、まずはそれをやりたい。私がクラブの実情を理解していないということがJリーグ全体の大きな課題にもなるので、そこから手をつけます。

<了>

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