錦織快勝、狙い通りの試合で猛暑かわす=全豪オープンテニス

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第1セットをわずか24分で奪取

錦織はストレート勝ちで3回戦進出。出だしから効率よくゲームを進め、体力の消耗も避けられた 【Getty Images】

 全豪オープンテニス第4日は16日、男子シングルス2回戦が行われ、錦織圭(日清食品)がドゥサン・ラジョビッチ(セルビア)に6−1、6−1、7(7)−6(3)で勝利し、3回戦進出を決めた。

 この日の予報も最高気温は44度。午前11時ですでに38度を超えていた。湿度は低く、東京の暑さと比べればまだ過ごしやすいのだが、それは木陰に逃げ込めばという話。コート上はゴマ油をしいた中華鍋のようだった。大会2週目から気温は下がるという予報だから、錦織にとってはここが辛抱のしどころだ。

 2回戦の相手、23歳のドゥサン・ラジョビッチ(セルビア)は世界ランク117位。昨年のデビスカップ決勝でヤンコ・ティプサレビッチ(セルビア)に代わって出場した経験が生きたのだろう、予選を勝ち上がってグランドスラムで初めて本戦入りしてきた。こうした選手は、出だしをしっかり抑えないと勢いづくことは百も承知――。錦織は快調な滑り出しを見せた。

「風がなかった分、1回戦より暑く感じましたが、プレーはやりやすかったですね」

 第1セットのファーストサーブの確率は73%、アンフォースドエラー(凡ミス)は5本。錦織らしいスムーズなショットメイクでスタートを切った。第3ゲーム、30−30からフォアハンドのウィナーを2本続けて決めた。錦織がリターンから攻撃的に威嚇できていたため、ラジョビッチはサーブの腕が縮んで、第5ゲームにはダブルフォールト2本を献上した。第1セットをわずか24分で片づけたのは大きい。

 錦織は大会に気分良く入れている。ブリスベン国際で準決勝まで勝ち進み、前週のクーヨン・クラシックは、エキシビションとはいえ、決勝でトマシュ・ベルディヒ(チェコ)を倒して優勝した。昨年のオフから、マイケル・チャン氏がコーチとしてチームに加わっており、練習の成果は実りつつあるようだ。

「1回戦が5セット、3時間半を戦った割には疲れが残っていなかった。体も強くなっている感じがしますね」

猛暑が続く中、ストレート勝ちは大きい

 自信あふれるショットで波に乗り、第2セットも流れるようなショットメイクを見せた。打ち合いに入れば、自由自在に相手を振り回して第2ゲームを早々にブレーク。サーブが好調で、ファーストサーブからのポイント獲得率が第1セットの91%に続き、第2セットも83%をマークした。このセットも6−1と、25分で料理した。この時点で正午を迎え、暑さとの勝負にもなる。今大会は気温40度を超えた時点で、屋根のないコートでヒートポリシー(酷暑ルール)が適用される可能性が出てくる。試合中断となれば、プレーのリズムが狂ったり、待ち時間で消耗したりという余計な要素が入り込む。

「暑くなると、まず頭がもうろうとして、次にけいれんが来る人もいますが、集中力が失われがちになるんです。今日の3セット目、相手が良くなったこともありますが、僕も集中力を制御できなかったところもあって、競ってしまった」

 互いにサービスキープで進んだ第3セット、第8ゲームを先にブレークされた。錦織はすぐ思い直したようにラブゲームでブレークバック。5−6からの第12ゲームにセットポイントを1本握られる場面もあったが、ここは落ち着いて処理できた。タイブレークは再び一方的な展開でのストレート勝ち。余裕のプレーは、体調が安定していることの表れでもある。

「ストレートで勝てたのは大きいですね。第4セット、第5セットまで行っていたら、疲労もたまっていたと思います。次は(アンドレアス・)セッピでない方がいいですが……」

 3回戦の相手は、昨年のウィンブルドンでフルセットの末に敗れたアンドレアス・セッピ(イタリア)かと思われたが、ドナルド・ヤング(米国)となった。昨年優勝した全米室内選手権でストレート勝ちした、手のうちを知り尽くした相手だ。ここを乗り切れば、翌週は気温20度台まで下がる予報となっており、順当に行けば好条件でラファエル・ナダル(スペイン)との対戦に向かうことができる。

 錦織の試合が終わったのが午後1時2分。その50分後にヒートポリシーが適用され、さらにスコールにも見舞われた。錦織は狙い通り、効率よく試合を進められたことで、こうした不測の事態から免れた。

 その他の日本勢では、女子シングルス2回戦で奈良くるみ(大阪産業大)がマグダレーナ・リバリコバ(スロバキア)にストレート勝ちし、昨年の全米オープンに続きグランドスラム2大会連続で3回戦進出を果たした。一方、森田あゆみ(キヤノン)は第8シードのエレナ・ヤンコビッチ(セルビア)に完敗。女子ダブルス1回戦に登場したクルム伊達公子(エステティックTBC)とシュアイ・ジャン(中国)のペアは、アンドレア・フラバチコバ、ルーシー・サファロバ組(ともにチェコ)に敗れた。

<了>

(文:武田薫)
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