九州文化学園・田川「負けたくなかった」=春高バレー 優勝監督・選手コメント

スポーツナビ

6大会ぶり5度目の優勝を果たした九州文化学園。準決勝、決勝と2セットを先取された状況から逆転して栄冠を勝ち取った 【坂本清】

 全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)の決勝が12日、東京体育館で行われ、九州勢同士の対戦となった女子は九州文化学園(長崎)が東九州龍谷(大分)に3−2で逆転勝利。6大会ぶり5度目の優勝を果たした。

 九州文化学園は準決勝に続き、決勝でも2セットを先取された状況から逆転勝利を収めた。試合後の会見で井上博明監督はキャプテンの田川紘美を賞賛。「監督は何もしていません。今回の最優秀選手賞も、僕は田川さんだと思っていますし、優秀監督賞も田川さんだと思います」と称えている。

田中「仲間と日本一になれてうれしい」

井上博明監督 大変うれしいです。

田川紘美(1番) 最後の最後で日本一になれて、とてもうれしいです。

佐藤真里安(2番) 最後の試合で優勝できてよかったです。

山本紗里奈(3番) 3年生のおかげで日本一になれたので、来年は自分たちが頑張りたいと思います。

田中瑞稀(6番) 最後の大会でこの仲間と日本一になることできて本当にうれしいです。

山本茉歩(8番) 絶対に負けたくなかったので、日本一になれてうれしいです。

中島未来(10番) 自分は特に、あまり何も考えてないけど、3年生と最後で、とにかく無我夢中で。大好きな3年生とコートに立ててうれしいです。

濱元さやか(13番) 最後の大会で、今まで支えてくれた3年生と一番長くバレーができてよかったです。来年も3年生から学んだことを生かして、絶対に日本一が取れるよう頑張ります。

井上監督「目に見えないところのレベルをあげる」

――決勝戦はどういったゲームプランで臨んだのか? 先に2セット取られた後、どんなアドバイスをしていたか?

井上監督 基本的に監督は何もしていません。今回の最優秀選手賞も、僕は田川さんだと思っていますし、優秀監督賞も田川さんだと思います。

田川 試合前は、相手に関係なく自分たちのバレーをやろうという話をしていました。2セット取られたときには、絶対負けたくないという気持ちが強かったから、何も言わずに、今のセットを忘れて、次頑張ろうという声だけかけました。

――今年は1年間勝てない状態が続く中で、何を指導してここまでたどり着きましたか?

井上監督 新年度はオール3年生のメンバーで始まって、その時は相当メンバーが小さくなって、「周りは弱くなったと思うだろうな」と思いました。しかし心の中では春高バレーが終わったときには笑って終われるかなというふうにも思っていたんです。そうこうしているうちに主力選手にけがが続いて選手がそろわず、インターハイ予選も「よく負けなかったよね」と、いうような状態でした。

 そこで3年生には九州文化学園に来た意味を考えようと。最後の学年だぞ、自分たちが頑張らないといけないんだぞ、という話をしました。

 そして国体予選のときに、宿舎が一緒だったラグビー協会の役員の方から、選手のなにげない行動を褒めるメールをいただきました。自分たちにとっては当たり前の行動なんだけど、周りから認められた。目に見えない部分を認められると特に思春期の子どもは大きく変わる。そうやって成長していって国体では決勝まで行けました。

 そうして迎えた春高バレーではけが人も癒えてきた。春高でも選手たちの思いとか、考えでいいものが出てきた。そういう素晴らしい心を持った選手たちが、やっぱり最後の最後で勝てたのかなという1年でしたね。

――選手から諦めない気持ちを感じたが、日頃の練習から感じることは?

井上監督 基本的に強いチームは、スパルタだとか、管理されているということを見てない人は言います。ですが管理もしてないし、スパルタでもない。決まりがないのが決まりなんです。多くの決まりを作って、それを守ってさえいればいいというものではない。日頃から生徒に言っているのは感謝と思いやりの心を持つ、言い訳、責任転嫁をしないということです。自分にとって矛盾に感じるようなことも言い訳、責任転嫁をしない。そして誇りを持てるようなことをやろうというふうに言っています。

 逆に言えば至らない気持ち、甘える気持ちや頼る気持ちが出ていることは恥ずかしい気持ちだよ、と。そういう気持ちを分かったうえで、自分は何をするのか、自分の役割を探すというか。いわゆる何を考え、どんな気持ちで、どこを見てっていう目に見えないところに気付ける、そこのレベルを上げるっていうのが一番大事ではないかなと思って普段から指導しています。

田中「仲間が信頼してトスを持ってきてくれた」

MVPを受賞したエースの田中。「仲間が信頼してトスを持ってきてくれた」とチームメイトへの感謝を口にした 【坂本清】

――ミスの後の気持ちの切り替えで心掛けたことは?

田中 自分が止められてもミスをしても、仲間が信頼して自分のもとにトスを持ってきてくれた。周りのみんなに感謝して、次は絶対に自分が決めなきゃという気持ちでやりました。

――キャプテンとしてここまで何を心掛けてやっていたか?

田川 新チーム発足後、3月に田中がけがをして正直やばいなと思いました。でも田中が欠けた分、チャンスだと思って1・2年生を含め他のみんなが頑張ってくれたし、3年生も頑張った。だから、田中が帰ってきたときにチーム力が上がったのかなと思います。

 自分は特にキャプテンとして意識をして声をかけたりとかは得意ではないです。自分はプレーで、背中で引っ張っていくことしかできないから、それで1年間頑張ってきました。

<了>
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

スポーツナビ編集部による執筆・編集・構成の記事。コラムやインタビューなどの深い読み物や、“今知りたい”スポーツの最新情報をお届けします。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント