卓球のスーパーキッズが続々誕生する理由=福原、石川らも通った成功への道

小川勝

子どもたちのやる気を刺激する強化制度

福原もジュニア時代、年上のカテゴリーの大会に次々出場し、腕を磨いていった 【写真:Action Images/アフロ】

 さらには、日本卓球協会が独自に行ってきた小学生、中学生年代の強化制度も、この背景にあったと言える。中学2年生以下を「カデット」、小学6年生以下を「ホープス」、小学4年生以下を「カブ」、小学2年生以下を「バンビ」と分類して、それぞれの年齢層における全日本選手権を開催してきた。小学生は毎年体が大きくなっていくから、低学年と高学年を同じカテゴリーにしてしまうと、低学年の子どもが勝てる可能性はあまりない。勝てる可能性がなければ、子どもたちのモチベーションも上がらず、楽しみがなくなってしまう。しかし、2学年ごとに分かれていれば、小学校低学年のうちから、全日本選手権で勝利を挙げられる可能性があるわけで、子どもたちのモチベーションを刺激することになる。

 実際、福原は、小学2年生以下のバンビの部では5歳10カ月で優勝した。これは史上最年少での優勝であり、以後、年長のカテゴリーにおいても、史上最年少の優勝記録を樹立していった。それぞれのカテゴリーに出場する上で、年齢の下限に制限はないため、上達すれば、福原のように、どんどん年上のカテゴリーに出場して、自分より年長の選手たちと、試合経験を積むことができる。こうした、年齢別の大会の制度が、子どもたちの育成に寄与した部分も、間違いなくあったはずだ。

 今年の全日本選手権は、13歳になった伊藤、平野美だけでなく、14歳になった男子の出雲卓斗(遊学館ジュニア)の活躍なども注目される。福原、石川や、男子の水谷隼(DIOジャパン)、丹羽孝希(明治大)といった優勝候補だけでなく、ティーンエイジャーたちのプレーが、卓球ファンのみならず、広く注目される話題を提供しそうだ。

<了>

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著者プロフィール

1959年、東京生まれ。青山学院大学理工学部卒。82年、スポーツニッポン新聞社に入社。アマ野球、プロ野球、北米4大スポーツ、長野五輪などを担当。01年5月に独立してスポーツライターに。著書に「幻の東京カッブス」(毎日新聞社)、「イチローは『天才』ではない」(角川書店)、「10秒の壁」(集英社)など。

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