“速すぎた”東洋大・駒大が見せた攻防戦=駒澤大OB神屋氏が箱根駅伝往路を解説

構成:スポーツナビ

東洋大と駒澤大の激しい攻防戦となった箱根駅伝往路を、駒澤大OBの神屋氏が解説した 【写真:日本スポーツプレス協会/アフロスポーツ】

 第90回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の往路が2日、東京・大手町の読売新聞新社屋前から箱根・芦ノ湖までの5区間、108.0キロで行われ、東洋大が5時間27分13秒で2年ぶり5回目となる往路優勝を果たした。2位には駒澤大が入り、トップとの差は59秒、3位は早稲田大で5分09秒差。連覇を狙った日本体育大は、トップから6分32秒遅れの4位だった。

 スポーツナビでは、駒澤大のエースとして箱根駅伝に4年連続で出場し(1999年〜2002年)、現在はランニングアドバイザーを務める神屋伸行氏に、レースのポイントや復路の展望などを伺った。

「絶対勝つ」オーダーでつかんだ往路V

――東洋大が2年ぶりに往路優勝しました。勝因は何でしょうか?

 東洋大は、往路優勝をするつもりで選手を配置していたと思います。昨年も同様に往路優勝を狙っていたと思いますが、今年は取りこぼしがなく、全員が力を発揮しました。実際、多少の計算違いはあったと思いますが、往路のフィニッシュタイムを見ると、かなり速いタイムなので、今年は東洋大の想定通りにレースが流れたのではないでしょうか。

――東洋大は当日のエントリー変更で、3区に設楽悠太選手、5区に設楽啓太選手のダブルエースを配置しました。

 酒井俊幸監督の「往路で絶対に勝たなきゃだめだぞ」という強い思いが感じられる区間配置だったと思います。1区に田口雅也選手、2区に服部勇馬選手と主力を置き、なおかつ設楽兄弟を往路に置いたので、選手にも「これで負けたら厳しい」という強力なメッセージになったのではないでしょうか。特に、5区に啓太選手を置いたことが大きいですね。当然、どの選手にもはずさない走りが求められます。プレッシャーも相当あったと思いますが、その中でも、選手は力を出し切りました。

 東洋大の“往路逃げ切り”というスタイルは、昨年も今年も何も変わっていません。「新しい東洋を作る」という方法もあったと思いますが、「これが東洋大なんだ」というスタイルを作り上げようという強い意志があり、それに選手が適合してきたのでしょう。昨年2位の失敗を生かした結果と言えます。

――神屋さんの母校・駒澤大は59秒差の2位です。

 駒澤大にもある程度の計算違いはありました。例えば、2区の村山謙太選手。オーバーペース気味に入ってしまったことで、後半に失速してしまいました。村山選手の区間タイム自体は悪くないのですが、本人や周りの期待よりは下回ってしまったかな、と。ただ、3区以降の選手がその分をカバーしましたね。
 大八木弘明監督はある程度、往路優勝も視野に入れていたでしょう。ただ、駒澤大は復路に自信を持っていますし、9区起用が濃厚なエースの窪田忍選手もいますので、悪くてもトップから1分差ならばよしとできる範囲だったのではないかと思います。

 東洋大、駒大が、1秒単位で火花を散らした往路でしたね。ものすごい攻防戦でした。

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