“戦国時代”制覇の筆頭は市立船橋か=最激戦区と隠れ候補が集うブロックに注目
最後の国立に気合が入る選手と監督
今年も戦力が拮抗している中、優勝候補の一角に推される京都橘。前年度得点王の小屋松(左)は今年も健在 【川端暁彦】
天皇杯全日本サッカー選手権と並ぶ伝統のサッカー大会であり、団体球技全体で見ても指折りの老舗大会。特に1976年度の第55回大会に首都圏開催となってからは、「決勝・国立」のイメージとともに広く一般層にも浸透するトーナメントとなった。ただし、それも今回で一区切りとなる。
2020年の東京五輪開催決定に伴い、国立競技場が来年春より改修工事に入ることが決まっているからだ。すっかり定着した会場ではあるが、来年以降は移転するほかない。となれば、あの伝統ある国立の芝を踏めるのは今年が最後。選手のみならず、伝統をよく知る監督たちにも気合いが入るシチュエーションとなっている。
戦力拮抗の影響で消えた「ヘタクソ」
今大会、予選で有力選手を擁したチームの敗退が相次いだのも、いわば「必然」。Jクラブのユースチームに選手が集まるようになり、選手権が「タレントを見る」という意味で高校年代最高峰の大会でなくなって久しいが、近年は高校での部活動を選んだタレントでも見るのが難しくなってきた。U−17日本代表で鹿島アントラーズ内定のMF杉本太郎を擁した帝京大可児(岐阜)など、多くの有力選手が予選段階で姿を消している。Jクラブ内定選手に限定しても、選手権に出てくる選手よりも予選で敗退している選手のほうが絶対数が多い。そういう拡散の時代だ。
前回大会から連続出場を果たしたのが、全体の4分の1程度のわずか14校に過ぎないというデータは象徴的だ。10年以上の連続出場は青森山田(青森)と星稜(石川)の2校のみである。U−18日本代表FW小屋松知哉を擁する前年度準優勝の京都橘(京都)は今年も出場を果たしたが、前年度優勝の鵬翔(宮崎)は県予選準々決勝で姿を消した。毎年、各種のメディアが高校サッカー選手権に向けての特集号や特番などを準備するが、近年は「どこが出るかまるで分からないから」と、特集内容や表紙の人選などを先送りするところが増えてきているのは象徴的だ。