“運命のベルト”を取り戻すことができるか=若き実力者・金子が盤石の王者・内山に挑む

船橋真二郎

勝つ自信は「もちろん100パーセント」

王者・内山に挑戦する金子は「自信は100パーセント」とベルト奪取に強い意気込み 【スポーツナビ】

 大みそかに東京・大田区総合体育館でV7王者・内山高志(ワタナベ)の牙城に挑む、前日本王者で4位・金子大樹(横浜光)の公開練習が27日、所属ジムで行なわれた。
 試合4日前とあって、しっかりウォーミングアップを行なったあと、1ラウンドのスパーリングと1ラウンドのミット打ちなどを披露しただけだったが、引き締まった表情に充実感があふれる。体重も「練習終わりで400gオーバー」と順調で「病気も怪我もなく、ここまで来たので、油断しないようにこのまま行きたい」と、本番までコンディション調整に努める。

 公開練習に先立って行なわれた記者会見では内山について、「どこから、どう見ても強いチャンピオン」と敬意を表しながらも「自分の夢である世界チャンピオンになるため、勝つための練習をしてきたので、あとは自分を信じて試合するだけ。もちろん自信は100パーセントある」とあらためて強い意気込みを示した金子。「やることはやってきた。やってきたことを出してくれれば、必ず世代交代はなると思う」という石井一太郎会長の期待に「これまではチャンピオンが歴史を作ってきたが、大みそかからは金子大樹の歴史を作っていきたい」と力強く応じていた。

ロス合宿で内山戦へ「戦うイメージできた」

充実のロス合宿で内山戦へ「戦うイメージができた」と自信 【スポーツナビ】

 金子は11月5日から1カ月にわたって、米国ロサンゼルスでスパーリング中心の合宿を行ない、「ボクシングだけに集中できる環境で、向こうのトレーナーや選手に練習に付き合ってもらったり、みんなで話し合ったりして、綿密な作戦を立てられた。向こうで練習したことで、(内山と)戦うイメージができた」と、その成果に自信を示す。以前、石井会長は「皆さんが評価されているように、内山がパーフェクトとは僕は思っていない」と話していたが、現地のルディ・エルナンデス、岡辺大介、両トレーナーとともに「内山のリズムをいかに崩すか、何をしたら内山にやられるのか」の両面を金子に叩き込んできたと言う。 
 もっとも、試合前の合宿は最近の金子にとっては恒例で、ロサンゼルス合宿も今回が2度目。石井会長が「今後を見据えた合宿という意味合いもある」と語るように、金子の拠り所は合宿の成果だけにあるわけではない。
「生活を変える必要はない。普段と変わらないことをやるだけ」
 金子がきっぱりと言ったのは10月29日、世界戦の発表会見のときだ。自信に満ちた25歳の表情が忘れられない。その根底にあるのは、世界王者になるための日々を自分は積み重ねてきた、という自負である。

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著者プロフィール

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)、『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社=2022年7月休刊)など、ボクシングを取材し、執筆。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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