黒木コーチが見た斎藤と大谷の現在と未来「大谷は二刀流で2桁勝利できる」

構成:スポーツナビ

日本ハムの投手コーチとして大谷、斎藤らを1年間見てきた黒木氏が、今季の手応えと課題、来季の可能性について語った 【写真は共同】

 大谷翔平の入団で注目を集めた2013年の北海道日本ハム。しかし、2012年のパ・リーグ王者は、春先の出遅れが響くなどし、最下位に沈んだ。スポーツナビでは、今季、投手コーチに就任した黒木知宏投手コーチに、低迷した今季を振り返ってもらいつつ、投手と野手での二刀流に挑戦している大谷と、「完全復活」を目指し奮闘中の斎藤佑樹について、手応えと課題、そして来季の可能性について聞いた。

開幕ダッシュに失敗して立て直しにエネルギーを使いすぎた

吉川、武田勝の不振もあり、開幕ダッシュに失敗したのが今季低迷した要因のひとつと黒木コーチ 【スポーツナビ】

――コーチとして初めて過ごされた1年間を振り返ってみていかがですか?

 今季は選手であり、スタッフでありの距離感を詰める、お互いを理解し合うことにフォーカスしてきた、そこに時間を費やしてきました。
 ただ、成績で言いますと、昨季優勝したチームが今季最下位になったことに責任を感じています。春先に開幕ダッシュしなければならないところだったのですが、開幕ダッシュに失敗しました。これまで外から見ていて、長いシーズン負けることもありますし、勝つために温存するべきところとか勝負どころとかもあると思っていましたし、春先の負けに対して、そこまで焦らなくていいのかなと、正直思っていました。ただ、実際に戦ってみると、春先にこけてしまうと、立て直すのに非常にエネルギーを使ってしまう。そのエネルギーを使ってしまうことで、いろいろな選手に負担をかけてしまいました。シーズンを通じて、うまくスタミナ切れを起こさないようにするのが難しかったですね。

――吉川光夫投手が7勝15敗・防御率3.31、武田勝投手が8勝7敗・防御率3.91と振るわなかったことも影響しましたか?

 それはあります。開幕投手の武田勝投手が離脱して、力のあるウルフ投手が約1カ月、離脱しましたし、吉川投手がいろいろところに不安を抱えながら、開幕を万全の状態でなく迎えました。先発陣は不安材料が残った中での開幕でした。そこにストッパーの武田久投手も途中離脱してしまい、チームの柱になる投手が早々に離脱してしまいました。また、代わりに投げた選手が機能しなかったのが苦しかったですね。しかし、それが理由ではなく、そこを立て直ししなくてはいけない、やりくりしていかなければならないのが私たちの仕事なんですが、そこをうまくしてあげられなかったのが申し訳なかったと反省しています。

――逆に収穫や良かった点はありますか?

 私が伝えたことをちゃんと理解し、感じてくれた選手はいました。新人の大谷(翔平)投手にしろ、鍵谷(陽平)投手にしろ、途中から河野(秀数)投手にしろ、新しい選手が出てくるきっかけを作れたことは、来年につながるものではあったのかなと思いますね。

 彼らが来年、再来年、その先の野球人生、現役として終わってどうなっていくかが楽しみですね。その動機づけは感じてくれたのかなと思います。来年も継続してくれるかは分かりませんが、一瞬でも感じてくれたのは良かったと思います。

――今オフですが、コーチとして投手陣に向けて、何を呼び掛けたのですか?

 柱になる選手、ベテラン選手や中心選手に関しては自分たちが今季うまくいかなかった思いがあると思います。それを払いのけてくれるとの思いを託しています。秋季キャンプの時に、個人個人と面談をして、「これをやっていってほしい、続けていってほしい」また、「私たちとやっていく中で私たちへの意見、コミュニケーション」を取りました。
 若い選手に関しては、「来年は競争だ」と言いました。早めに競争の方針を明確にすることで、そこに漏れた選手には厳しいけれど「プロの世界ですよ」と伝えてあります。2月のキャンプに向けて、各選手がどう調整してくるか。春のキャンプはまだ時期的に早いから調整段階だと言うのは遅いと言ってあります。オフの課題を選手たちにはしっかり与えています。

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