攻め続ける真央、鈴木は決戦で大人の演技
SPトップでフリーに臨む浅田真央 【坂本清】
スポーツナビでは、5つの3回転など力強いジャンプや氷上での明るい笑顔が持ち味で、2007年四大陸選手権、04年全日本選手権で4位に入るなどの成績を残した澤田亜紀さんに、女子SPを解説してもらった。
この日も攻めた、首位の浅田真央
トリプルアクセルを武器に持つ浅田真央。丁寧なステップにも注目 【坂本清】
そういう中でも、ステップをきちんときれいに見せていました。浅田選手はバレエの基礎がしっかりしているので、手先の動きも評価される部分です。今井選手もそうですが、柔らかい表現ができて、それが途切れない。同じ手を動かすにしても、腕を上げ始めるところから下ろすところまでしっかり意識しています。手に意識を置ける人は多いのですが、指先、関節にまで意識が向けられる選手はそんなにいません。選手は試合での演技中、プログラムや、ミスしたところのリカバリーの事などいろいろな事を考えながら滑るので、指先にまで意識を持ち続けるのは難しいんです。普段の練習でもコーチに言われないとなかなか気付けない部分なので、練習のときからしっかりと意識して取り組んでいるんだと思います。
2位鈴木明子、空気に飲まれず魅せた『愛の賛歌』
2位は鈴木明子 【坂本清】
個人的には、トリノ五輪選考会だった2005年全日本選手権の第3グループで一緒に滑った事があって、その時に次の最終組の様子について「最終組は雰囲気が全然違うね」と話した思い出もあるので応援したくなってしまう選手です。試合前は「震えるくらい緊張していた」というコメントがあったようですが、苦労してきた分、スケートを滑れる喜び、全日本選手権の独特の空気感を楽しんでもいたのではないでしょうか。
鈴木選手の前に滑った村上選手が良い演技をして、演技前はその空気が残っている感じもありましたが、ジャンプを決めていく事で、村上選手の空気から鈴木選手の空気に変えましたね。
(大会前に調子を崩していたという本人コメントもあったが)スケート靴をNHK杯(11月8〜10日)後に変えたという事ですが、靴を変えるとやはり調子は変わります。スケート靴は靴の部分と、ブレード(刃)の部分とが分かれていて、その組み合わせは選手それぞれ。ブレードをつける位置にも微妙なバランスがあって、靴を新調するたびに調整をしています。ぴったりとバランスが合う位置にブレードを付けると、何かの支えがなくてもスケート靴が床の上で倒れずに立つんです。
それから靴の皮部分の硬さですが、最初は皮が硬いので履きながら段々慣らしていきます。今回、鈴木選手は「最初は靴を替えても順調にいっていた」という話がありましたが、靴を変えて1カ月以上。皮が硬いうちは分からなかった事が、柔らかくなって分かる事もあったのかも知れません。