引退ピーター・アーツ、判定負けも完全燃焼「皆さんに会えなくなるのが寂しくなります」

長谷川亮

愛する日本で引退試合を行ったピーター・アーツは完全燃焼でリングを降りた 【t.SAKUMA】

「GLORY 13 TOKYO」が21日、東京・有明コロシアムで開催された。メーンイベントは長きに渡り立ち技格闘技の代表的存在として活躍してきたピーター・アーツの引退試合。しかしラストマッチでありながら感傷とは無縁に、10月行われたGLORYヘビー級トーナメントで王者となった最強の敵、リコ・ベホーベンと対戦した。

最後まで決して諦めないアーツに大きな拍手

最後までファイティングスピリット全開ファイトを見せたアーツ 【t.SAKUMA】

 試合後「1Rからガンガン行ってベストを尽くした」というアーツは、その言葉通りに右ストレート、右ローを主体にいきなりエンジン全開で猛攻。多くの印象的なKOを生み出してきた右ハイも繰り出し、リコを攻め立てる。

 パワーと勢いを見せるアーツに対し、リコはガードを固くし左右のローで足から崩すという堅実な戦法で対抗。アグレッシブさで目を引くアーツだが着実にダメージを与えたのはリコのローキックで、アーツはバランスを崩され試合中幾度もマットに転倒する。

 3Rに入るといよいよ足のダメージを隠せないアーツだが、それでも最後まで闘志を衰えさせることなくワンツー、ハイを繰り出して攻め試合終了。

 判定は1者がアーツにつけるも、2者はローキックで的確にダメージを与えたリコを支持して2−1でリコが勝利。しかし最後まで決して諦めない姿勢を試合を通じて体現したアーツに、会場から大きな拍手と歓声が送られた。

笑顔でリングを降りた“20世紀最強の暴君”

最後まで決して諦めない姿勢を見せたアーツに大きな拍手と歓声が送られた 【t.SAKUMA】

 大会後は同じくこの日、日本でのラストマッチに臨んだレミー・ボンヤスキーとともに2人の引退セレモニーが行われ、K−1ファイターであった武蔵と魔裟斗から花束が贈られる。そしてアーツは「みなさんに会えなくなるのが寂しくなります。ドウモアリガトウゴザイマス。押忍」と挨拶。“20世紀最強の暴君”は最後まで鮮烈なファイティングスピリットを損なうことなくリングを後にした。

 その他、今大会に出場したGLORY65kg級世界トーナメント優勝者の久保優太はモサブ・アムラーニの荒々しいファイトに後れを取り判定負け、上原誠は長身の相手に手を焼いたが2−1の判定勝ちを収めている。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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