羽生「GP大会より過酷な争いになる」=全日本フィギュア前日練習コメント・男子

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五輪代表「3」枠の行方は!? 全日本フィギュア、前日練習に臨む高橋(左)と羽生  【写真は共同】

 フィギュアスケートの全日本選手権(21日〜23日)を翌日に控えた20日、会場となるさいたまスーパーアリーナで公式練習が行われ、出場選手が最終調整で汗を流した。
 今大会は来年2月のソチ五輪選考会を兼ねている。代表権は男女ともに「3」。男子では、グランプリ(GP)ファイナルで優勝した羽生結弦(ANA)が優位な状況だ。また前回の2010年バンクーバー五輪で銅メダルを獲得した高橋大輔(関西大大学院)は、11月下旬に右脚を負傷しており、回復具合が気になるところだ。

 また同日、大会の滑走順抽選会が行われ、羽生は25番、高橋は26番での滑走が決まった。羽生、高橋とともに代表入りに有力視されている町田樹(関西大)は18番、無良崇人(岡山国際スケートリンク)は19番、織田信成(関西大大学院)は21番、小塚崇彦(トヨタ自動車)は27番で滑走する。

 以下は、羽生、高橋、町田、織田、小塚、無良のコメント。
 

羽生結弦「やるべきことをしっかりやるだけ」

GPファイナル初優勝を飾り、代表最有力の羽生 【写真は共同】

「選手宣誓が緊張します(笑)。(ファイナルから全日本までどういう練習してきた?)特別な練習はしていません。いままでどおりに練習してきましたし、少しでもうまくなれるようにしっかりと考えながら、1分1秒と練習をしてきました。やるべきことはやってきたなと思っています。(アドバイスは)それはありましたけれど、全日本だから何というわけではなく、いつもどおりの試合の感じで、今回やるべきこと、やらなければいけないことをしっかりやるだけだと思っています。(具体的に今回やることとは?)ショートとフリーをきちんとこなすことですね。今回はグランプリと違ってドローがあるので、滑走順やリンクコンディションや、自分の気持ちのコントロールですとかそういうものを含めて、ドローから試合だということを感覚を、自分に入れておいて、世界選手権や五輪でも抽選によって滑走順が決まると僕は思っているので、その感覚を、1番プレッシャーがかかる舞台で、経験をしていけたらと思います。

(公式練習の雰囲気について)みんなすごいなと思っていました。いままでGPに出てきて、パトリック(・チャン)選手と当たってきましたけど、そのなかでもGPシリーズのハイレベルな争いよりももっと過酷なものになるなと思いました。やはり日本男子選手のレベルが本当に高いと思いましたし、そのなかでどれだけ集中して、自分がやるべきことをできるかどうかが僕にとってのいまの挑戦かなと思っています。

 日本人選手しかいないので、お互いのライバル心というのがすごくあると思いますし、世界大会ではないけれども、世界大会でトップ3や、GPファイナルでトップ6が集まるような試合はこの大会しかないので、そういう意味での緊張感はあります。(代表争いはリードしているが、気持ちのゆとりは?)特にないですね。ファイナルが終わったあとは少し楽になるかなと思いましたが、ここに来たら選考会であろうとなかろうと、ショートとフリーでやることは何も変わらない。しっかりといつもどおり、やるべきことをやりたいと思います。

 全日本の会場に入ってきて、間違いなく周りに流されやすい試合になると思っています。周りに流されやすい自分をどうやって見つめ直すか、自分に引き戻すかを考えながら、GPシリーズで経験したことを生かしながら、この試合に臨みたいと思っています。GPファイナルで燃え尽きたわけではないし、燃え尽きるのはこの試合が終わってからだと思います。本当に気持ちは切れていないし、体も動いているので、ショートとフリーで良い演技ができるように自分をコントロールできたらなと。パトリック選手と3回戦った自信はすごくあります。この経験が今回も生きてくるかなと思います。(昨年の全日本選手権は優勝したが、納得できなかったと言っていた。どうしたら納得する?)それは僕自身が良い演技をして、今後に生きるなという思いが芽生えたら、それは納得したものになるのかなと思います。順位がどうのこうのじゃなく、自分がどれだけできたかが、納得できるできないの基準かなと思います。そこを大事にしていきたいですね。表情で分かると思います。演技後にどれだけ心から笑っていられるかですね」

高橋大輔「4年前よりいまの方がきつい」

11月下旬に右脚を負傷した高橋。回復具合はどうか 【写真は共同】

「ひざの状態は100パーセントは完治していないです。いまは痛みも軽減してきてはいますけど、自分の思ったようには練習ができていないので、100パーセント練習で追い込むことはできなかったです。痛みやひざの状態を見ながらの練習だったので、いつもどおりの入り方ではないし、そういう意味での緊張感や不安はあります。ただ、もう来てしまったので、あとは自分自身の気持ちをどれだけ強く持てるかだと思います。

(具体的にけがはどういったもの?)脛骨(けいこつ)骨挫傷です。骨の中がちょっと炎症して、衝撃があるので着地や踏切りができなかった。4、5日は滑っていないです。スケーティングから始めて、OKが出たらジャンプを始めた感じです。(けがをしたときの状況は)ルッツを跳んで着地したときです。ひざは1年ぐらい前から、練習なんかをハードにやると痛みは出てきていたんです。(公式練習の感触は?)他の選手のレベルに比べれば、良くない調子だと思いますが、僕自身の中ではけがしてからいままでやってきたときと比べれば良い感じだったかなとは思います。あと2日で上がってくればいいですね。

(ジャンプの感触は)4回転以外は大丈夫かなと。4回転は思うように練習できなかった部分や、着地が少し怖かったりとか変なくせがついていた部分もあるので、そこをどうカバーしていくか。本番は3本だけ決めればいいので、練習で入らなくても、本番だけ入れられるようにしたいと思います。(4回転を外すという選択肢は)これだけみんなが跳んでいる中で外していくというのも、どうなのかなと。フリーで1本にするとかはあるかもしれないですけど、あんまりそういうことは考えずに、良くなるイメージを持ってやってきています。

(4年前と比べていまの状態は?)4年前よりいまの方がきついですね。4年前は五輪に行けたらいいなぐらいだったので。でも今回は後がない。また4年後目指すというのは簡単には思えないですし、これだけ周りが成長してきているので、4年前より厳しいです」

町田樹「五輪に出るのは僕だと毎日言い聞かせている」

GP2大会で優勝した町田。ファイナルでは出遅れも、メキメキと力をつけている 【写真は共同】

「調子はいいです。五輪の出場枠を取るのは僕だと信じて最後まであきらめずにやりたいと思います。五輪に出るのは僕だと毎日自分に言い聞かせています。五輪に出るにふさわしい人間であれるように1日1日精いっぱいやってきたつもりです。

(少し休んだ?)うまく疲労を抜きながらやってきましたけど、まとめて休んだとかはないです。

(靴を替えた?)2日前に右足だけ新しい靴に替えましたが、そんなのは関係ないので。そういうハプニングとかありましたけど、ここまで来たらそれは関係ないので、全身全霊やるまでです。

(練習でショートの曲を選んだのは?)フリーの最初の2本だと4回転2回にトリプルアクセル2回というハードな部分なので、それはちょっとオーバーワークかなと。キーはショートだと思います。僕は2度と同じ失敗はしないです。

(初日で良い位置につけたいと?)五輪に出るなら両方ともキーになるんですけど、ショートで出遅れるとさらにプレッシャーがかかってくるので、特にショートはカギになるのかなと。

(大会直前に靴が壊れたことは以前にあった?)いえ、ないですね。でも不安は全くないです。

(メンタル的には?)無の境地でいきたいです。平常心とも違うんですが、気合い入りすぎとも違うというか、エタノールを燃やしたときに透明な炎が出るんですけど、そういう見えない炎を内に秘めて虎視眈々と狙うという態度ですね。一緒に滑っているメンバーもメンバーなので気持ち良くて、ついにこの大舞台が来たんだなという感覚です。不安や緊張とか、滑って感じる風だとか、この感覚がすごく気持ちいいなという感じでした」

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