“暴君”アーツ、引退試合へ「全力で臨む」=12.21GLORY東京大会・直前会見

長谷川亮

ラストマッチはヘビー級最強戦士と対戦

“20世紀最強の暴君”ピーター・アーツが引退試合へ「全力で臨む」と意気込みを語った 【長谷川亮】

 豪快なハイキックを武器に衝撃KOを連発し、K−1を代表する選手として活躍したピーター・アーツが「GLORY 13 TOKYO」(21日、東京・有明コロシアム)で引退試合を迎える。ラストマッチを前にしたアーツは20日、都内ホテルで行われた大会前日会見に出席したが、特別な感傷や緊張は見られない。「ファイト・イズ・ファイト」と語り、たとえ最後の試合であってもいつもと変わらぬ“20世紀最強の暴君”の姿がそこにはあった。

 アーツが引退試合で対戦するのは同じオランダで“アーツ2世”とも呼ばれるリコ・ベホーベン。日本ではK−1時代に参戦したトーナメントで1回戦負け(09年8月)、昨年大晦日のGLORY16人制トーナメントでは初戦でセルゲイ・ハリトーノフを破るも2回戦でセーム・シュルトに判定負けと大きなインパクトを残せていないが、今年10月に開催されたGLORYヘビー級トーナメントでグーカン・サキ、ダニエル・ギタの優勝候補2人を連破し優勝。現時点でのGLORYヘビー級最強ファイターを相手にアーツは引退試合を行うこととなる。

“アーツ2世”ベホーベン「明日はすごい試合になる」

アーツの引退試合の相手を務める“アーツ2世”ベホーベン。今年10月のGLORYヘビー級トーナメントを制した実力者だ 【長谷川亮】

 最後の試合でありながらリスクの高いリコのような相手を選んだのはなぜか? と会見の最初で問われたアーツは「選んだのはGLORYで自分が選んだ訳じゃない。でも、誰が相手であっても俺は戦う」とさっそく“アーツ節”を全開。キャリアは20年以上におよび戦績も100戦を超えたが、「試合は試合。先日もアンディ・フグのことをふと思い出したりしたが、試合に対し全力を傾けることは変わらない」と、引退試合であっても特別な思いを挟まず、いつも通り全力で臨むと心境を語った。

 対するリコは「このスポーツが今のようなものになったのはピーターの20年に及ぶ貢献が大きかったと思う。『(アーツは)もう歳だから試合は簡単に終わるよ』なんて言われるが、大間違いです。彼は素晴らしいアスリートで大きなハートを持った選手なので、明日はすごい試合になると思う」とアーツに敬意を払いつつ、激闘を誓った。自らの勝利で“アーツ2世”の正式継承はなるか。

上機嫌のボンヤスキー「日本で戦うことが楽しみ」

アーツとともにK−1全盛期に活躍したレミー・ボンヤスキーはアンダーソン・シウバと引退試合を行う 【長谷川亮】

 日本で最後の試合となるレミー・ボンヤスキーは「日本は自分にとって特別な場所です。この地で私は多くの成功を収め、日本のファンにも愛されています。なので日本で戦うことを楽しみにしています」と上機嫌で話し、メンタル面の充実ぶりをうかがわせた。シウバとは2012年10月に対戦し判定勝利を収めているが、この試合の判定は論議を呼んでおり、レミーは「1Rか2Rではっきりさせたい」と明確な決着に意欲を見せた。

 また、当初今大会での引退が伝えられていたセーム・シュルトだが、出場も来場も果たさず欠場。しかしシュルトは現在温暖なブラジルでコンディションの回復に努めているといい、「私をプロのファイターとして育ててくれた世界で一番優しい人たちの国・日本、そして私が愛してやまない日本のファンの方々に大変感謝しています。改めて試合をするのか、挨拶だけになるのか分かりませんが、来年日本のファンのみなさんの前でしっかりけじめをつけたいと思っています。押忍」とGLORYを通じメッセージを寄せた。

 なお、大会には日本から久保優太、上原誠がスーパーファイトに出場、ジェロム・レ・バンナvs.セルゲイ・ハリトーノフの一戦も行われる。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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