屈腱炎から復活―バリアシオン完成の域=同期オルフェと最後の戦いへ“攻める”

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日増しに良化する馬体、迫力ある仕上がり

前走後からは坂路を2本、見た目にもたくましさが増してきた 【netkeiba.com】

 この中間はできるかぎり毎日、調教後の馬体を確認しているが、筆者にはその姿が日増しに張りが出ているように見える。また、前走時から、普段の坂路での普通キャンターを2本乗っているからか、トモに迫力を増したようにも感じる。

「休む前に比べて、数字が大きく増えているのもあると思うけど、それが緩く見えないということは、やっぱり『大人の体』になって帰ってきたってことちゃうかな。引き締まるべき腹回りはしっかりと引き締まって、膨らむべきトモは大きく見える。それが、迫力が増したように感じるのかも知れませんね」(同厩務員)

 同じ質問を普段の調教、1週前追い切りにも跨った中山義一調教助手にも聞いてみた。

「確かに、これまで坂路からDコースという普段の調教を坂路2本に変えてから、トモの入りは良くなったかも知れませんね。だけど、それよりも、馬がしっかりしてきたことが、そう見える要因かも」

最終追いで自己ベスト更新、貫いた攻めの姿勢

最強の同期オルフェーヴル(右)との最後の戦い、一太刀を浴びせることはできるか 【netkeiba.com】

 厩務員、調教助手。馬の状態を感じる方法はそれぞれ違っても、やっぱり「成長」を感じているのは間違いない。3歳から4歳春にかけての勢いとは違う、5歳になっての完成度。これが今のウインバリアシオンにとって、最大の武器なのかも知れない。

 最終追い切りには、岩田康誠騎手が跨り、Cコースでの3頭併せ。おおよそ、このくらいは動くだろうという筆者のイメージを通り越して、速い時計で、思った以上に素軽い動きを見せてくれた。その動きを見守った、竹邑厩務員、中山調教助手ともに頬を緩めないわけがなかった。ただし、脚元には爆弾を抱えている馬。

「とにかく無事にゲートに入れること。それまでは自分と(脚元)の戦い。ゲートを出てくれれば、あとはオルフェーヴルとハナ、クビの勝負で勝ち負けできれば言うことないですね」(同厩務員)

 長期休養明けの2走目、しかも中2週という間隔の詰まるローテーションで、最終追い切りはCコースの自己ベスト(6F)タイムを更新。脚元の不安もある中、あえて「攻め」の姿勢を貫いた陣営。あとは、ゲートインして、レースを待つのみ。それに尽きるだろう。

<了>

松永 昌博(まつなが まさひろ)

1953年12月17日生まれ、鹿児島県出身。77年に曽場厩舎から騎手デビュー。同年4月に初勝利を挙げる、デビュー9年目ポットテスコレディで重賞初勝利。1991年からは有馬記念3年連続3着ナイスネイチャの主戦騎手を務めた。97年にトーヨーシアトルで東京大賞典を制し、GI級競走初制覇を達成した。02年に騎手引退後、06年に厩舎を開業。08年にマルカフェニックスで調教師として重賞初制覇を達成、昨年のマイルCSではエイシンアポロンが優勝し騎手時代を含めてもJRAのGI級競走初勝利を挙げた。

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