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ハマると怖い堅守速攻、ギリシャ侮れず
欧州勢で日本が最もやりにくいタイプ

組織的な守備と勝負強さが持ち味

ギリシャはルーマニアとのプレーオフを制してW杯出場権を獲得。日本のスタイルとは対極にある堅守速攻のチームだ
ギリシャはルーマニアとのプレーオフを制してW杯出場権を獲得。日本のスタイルとは対極にある堅守速攻のチームだ【Getty Images】

 日本が入ったワールドカップ(W杯)・ブラジル大会のグループCに欧州勢のポット4から振り分けられたのはギリシャだった。従来の格付けならポット1に入るイタリアやオランダが来なかったことを考えれば組分けに恵まれたと言える。しかし、現在の日本にとって堅守速攻型のギリシャは欧州の中でも最もやりにくいタイプだ。ギリシャは欧州予選のグループGでボスニア・ヘルツェゴビナに首位を譲る形でプレーオフに回ったが、難敵ルーマニアを3−1、1−1の合計4−2で下して、2大会連続となる3回目のW杯出場を決めた。予選12試合(プレーオフ含む)で16得点6失点という数字が示す通り、彼らの強みは組織的な守備と接戦での勝負強さだ。


 2010年にポルトガル人のフェルナンド・サントス監督が就任したとき、期待されたのは攻撃的なメソッドとマインドの注入だった。実際に04年のユーロ(欧州選手権)で優勝に導いたレーハーゲル時代に比べると攻撃志向は強まり、ロングカウンターやセットプレーに頼るだけでなく、自分たちから仕掛ける攻撃が増えた。ただ、守備から入り、ボールを持ったら手数をかけることなくシンプルな展開から徹底してサイドを突き、クロスにアタッカーが合わせるのが基本パターンとなっている。4−3−3のフォーメーションはスペインやオランダと同じだが、チームとしての戦い方は全く異なり、日本の攻撃スタイルとも対極的な関係にあるチームだ。

クロス主体の攻撃、カウンターに注意

 ギリシャの象徴的なゴールがルーマニアとのプレーオフ第1戦の2得点目。左で引いてボールを持ったゲオルギオス・サマラス(セルティック/スコットランド)が大胆なサイドチェンジを右ワイドに展開すると、オーバーラップして追いついた右サイドバックのバシリス・トロシディス(ローマ/イタリア)の折り返しに、鋭く飛び出したディミトリス・サルピンギディス(PAOK/ギリシャ)が合わせたのだ。日本代表のザッケローニ監督は自分たちの失点パターンに関して「人数がいるのにやられてしまう」と語るが、相手チームの大きな揺さぶりから一転して縦を突く動きに弱い部分がある。ギリシャはそうした攻撃を得意としており、日本としては全体が統率を崩さずに動きながら、局面の守備に対応していきたい。


 新エースとして君臨しつつあるのが名門オリンピアコス(ギリシャ)のコンスタンティノス・ミトログルだ。188センチの体格でアクロバティックなシュートを狙う気鋭のストライカーは、プレーオフの2試合で3得点を記録し、ギリシャ本国でも英雄的な存在に。長らくテオファニス・ゲカス(コンヤスポル/トルコ)が担ってきたエースの座を奪い取った格好だ。彼を3トップの中央に起用し、右ウイングに高速ドリブルと積極的な飛び出しを持ち味とするサルピンギディス、左ウイングには193センチのサマラスが配置される。欧州トップクラスの強豪国と比較すれば得点力は見劣りするが、クロスを主体とした攻撃がハマったときの迫力はかなりのものがある。


 彼らに高い位置でボールが入れば常に危険だが、特にハマると怖いのがカウンターで左のサマラスが縦のボールを受けたとき。体格が良く、推進力がある上に懐が深いので、相手の守備者は抜かれなくてもズルズルと後ろに下がる守備を強いられがちだ。日本が主導権を握る展開になっても、何度かはサマラスに前を向いてボールを持たれるケースが出てくるはず。そこで内田篤人、あるいは酒井宏樹がタイトについてボールを後ろに下げさせるようなことができれば、ギリシャの攻撃の怖さは半減する。

河治良幸

東京都出身。セガ『WCCF』の開発に携わり、手がけた選手カード は4500枚を超える。創刊にも関わったサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。チーム戦術やプレー分析を得意と しており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。著書に『サッカーの見方が180度変わるデータ進化論』など。

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