ハマると怖い堅守速攻、ギリシャ侮れず=欧州勢で日本が最もやりにくいタイプ
組織的な守備と勝負強さが持ち味
ギリシャはルーマニアとのプレーオフを制してW杯出場権を獲得。日本のスタイルとは対極にある堅守速攻のチームだ 【Getty Images】
2010年にポルトガル人のフェルナンド・サントス監督が就任したとき、期待されたのは攻撃的なメソッドとマインドの注入だった。実際に04年のユーロ(欧州選手権)で優勝に導いたレーハーゲル時代に比べると攻撃志向は強まり、ロングカウンターやセットプレーに頼るだけでなく、自分たちから仕掛ける攻撃が増えた。ただ、守備から入り、ボールを持ったら手数をかけることなくシンプルな展開から徹底してサイドを突き、クロスにアタッカーが合わせるのが基本パターンとなっている。4−3−3のフォーメーションはスペインやオランダと同じだが、チームとしての戦い方は全く異なり、日本の攻撃スタイルとも対極的な関係にあるチームだ。
クロス主体の攻撃、カウンターに注意
新エースとして君臨しつつあるのが名門オリンピアコス(ギリシャ)のコンスタンティノス・ミトログルだ。188センチの体格でアクロバティックなシュートを狙う気鋭のストライカーは、プレーオフの2試合で3得点を記録し、ギリシャ本国でも英雄的な存在に。長らくテオファニス・ゲカス(コンヤスポル/トルコ)が担ってきたエースの座を奪い取った格好だ。彼を3トップの中央に起用し、右ウイングに高速ドリブルと積極的な飛び出しを持ち味とするサルピンギディス、左ウイングには193センチのサマラスが配置される。欧州トップクラスの強豪国と比較すれば得点力は見劣りするが、クロスを主体とした攻撃がハマったときの迫力はかなりのものがある。
彼らに高い位置でボールが入れば常に危険だが、特にハマると怖いのがカウンターで左のサマラスが縦のボールを受けたとき。体格が良く、推進力がある上に懐が深いので、相手の守備者は抜かれなくてもズルズルと後ろに下がる守備を強いられがちだ。日本が主導権を握る展開になっても、何度かはサマラスに前を向いてボールを持たれるケースが出てくるはず。そこで内田篤人、あるいは酒井宏樹がタイトについてボールを後ろに下げさせるようなことができれば、ギリシャの攻撃の怖さは半減する。