「悪くない」組み合わせになった日本=ブラジルW杯本大会 グループリーグ分析
94年米国大会並みの移動負荷
広大な国土を持つブラジルでの開催のため、各チームのコンディショニングに対する戦略性が問われる大会となりそうだ 【Getty Images】
おそらく参加32カ国の監督のうち、20人くらいはこんなコメントを発していることだろう。この原稿を書いているのは抽選会直後であるが、その中にアルベルト・ザッケローニ監督が含まれていることは想像に難くない。
サッカーの2014年ワールドカップ(W杯)・ブラジル大会の組み合わせ抽選会が7日(現地時間6日)、ブラジルのコスタ・ド・サウイペで行われた。広大な国土を持つブラジルでの開催は、すなわち赤道に近い“アマゾン”から、穏やかな温帯気候まで多彩な気候の中での試合となるということ。移動の負荷を含めて1994年W杯・米国大会に匹敵するような大きな負荷が予想され、コンディショニングの戦略性が問われる大会となりそうだ。
ブラジル、スペインは「2位抜け」で対決も
まず注目されていたのは開催国のブラジル(グループAに固定)に並ぶ優勝候補と目されるスペインがグループBに入ったことだ。これはすなわち、ブラジルかスペインのどちらかが2位抜けとなった場合に、決勝トーナメント1回戦でいきなり「ブラジルvs.スペイン」のカードが実現する可能性があるということになる。
ブラジルはクロアチア、メキシコ、カメルーン。スペインはオランダ、チリ、オーストラリアと難敵のそろうグループに入った。もちろん、双方が2位抜けして対戦が回避される可能性もあるわけだが、「どちらかが2位抜け」というケースは十分にあるだろう。
いわゆる“死の組”よりも、“楽な組”(正確には、楽そうに見える組)が注目された抽選会でもあった。例ええば、グループH。ベルギー、アルジェリア、ロシア、そして韓国の入ったこの組は、近年のW杯での実績を欠く国ばかり。シード国のベルギーが頭一つ抜けている印象はあるものの、それ以外は拮抗(きっこう)した戦いが予想される。
ただ、ロシアにとっての大敵は、組み合わせよりも開催地。つまり「暑い場所は勘弁」というのが本音だったと思われ、暑熱の厳しい土地を避けられる組み合わせは彼らにとっての幸いだ。逆に韓国は、地元開催の02年W杯がそうだったように、暑い中で真価を発揮できる国だったはずで、この組み合わせは望ましくとも、開催地は有利と言い難い。
シード国の中で最も力が落ちると見られたスイスの入ったグループEには、フランスが入ってきた。かつての優勝国も近年は大きく実績を落としているが、今回はクジのルールが予想されたものから変更になる幸運に救われ、さらに実際の抽選でも幸運に恵まれることとなった。果たして威信回復の大会となるのかどうか。