これで満足してはいけない――森田理香子が感じる賞金女王の“重さ”

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ギャラリーを引き寄せるスケールの大きさ

横峯さくらの猛追をしのいで、賞金女王に輝いた森田理香子 【写真は共同】

 女子ゴルフ界にニューヒロインが誕生した。プロ6年目でシーズン4勝を挙げる大ブレイクを果たし、女子ツアー史上4番目の年少記録となる23歳と327日で初の賞金女王となった森田理香子。国内女子ツアーを長く牽引する横峯さくらとの最終戦最終日までの女王レースは、ファンの女子ツアーへの注目をピークへと高めた。ほかならぬ横峯の猛追をしのいだことは、森田の実力や知名度をさらに一段引き上げる起爆剤にもなったはずだ。

 師事する岡本綾子と築き上げてきた、力強さと美しさを兼ね備えたスイングは森田を構成する魅力の1つだ。2012年はツアー最多記録を更新する12個のイーグルを奪い“イーグルクイーン”を襲名した。流れに乗ると勢いが止まらない爆発力も秘めている。他のプレーヤーとは一線を画す、スケールの大きさはギャラリーを引き寄せる一因だろう。今季は優勝を重ねるごとに森田を囲むギャラリーが増えていき、シーズン後半戦は、大挙して移動する人の山があれば、その中心に森田がいた。

ゴルフ関連企業も積極的な露出で効果拡大へ

 人気と実力を兼ね備えたニューヒロインの誕生に、期待を寄せているゴルフ関連企業は多い。今年2月からウエア契約を結ぶブラックアンドホワイトスポーツウェア社は既に、4月に立ち上げた若者向けゴルフウエアの新ブランド『アンパスィ』のイメージキャラクターに森田を採用。試合で着用しているモデルをホームページでも積極的に露出している。今後のプランについて、担当者は「森田プロの活躍はブランド的にもプラスになっています。来年からも森田プロの顔を出していき、販路を広げていきたいですね」とさらなる効果拡大を図っていた。

 クラブ契約を結ぶダンロップスポーツ社も、09年の横峯以来、4年ぶりの誕生となった日本人女王の森田に寄せる期待は大きい。奇しくも同週の国内男子ツアーで、同じく契約プロである松山英樹がルーキー賞金王の快挙を遂げたばかり。またとない“男女同時賞金王”の好機に、松山と並び、森田を前面に押した露出も予想される。現在、森田と契約を結んでいるのは先述した2社のほか、サントリー、所属するリコーの計4社だが、今後も新規オファーが続々と飛び込んでくる可能性も高い。

 宮里藍は現在、総合契約を結ぶブリヂストンスポーツ社、日本航空を含めて7社と契約。有村智恵も9社を抱えている。2人とも今は米ツアーで戦っているが、日本ツアーでしっかりと根付かせた知名度があればこその契約だ。

 実力だけでなく、人気が伴ったプロ選手ともなれば、1件あたり年間数千万円から億単位のスポンサー契約があり得る。近年の大型契約では、石川遼とキャロウェイゴルフ社が年間6〜7億円、松山英樹とダンロップスポーツ社が年間3億円(金額はいずれも推定)と新聞報道されたことがある。これらの数字は、選手の人気や飛躍への期待値を、商業的に換算したものといえるだろう。

「人間的にも大きくならないといけない」

 賞金女王の称号が呼び水となり、森田はこれからのゴルフ界にムーブメントを起こす存在となり得るだろうか。森田自身も、「これで満足してはいけないし、これからが勝負。来年は(成績が)落ちたらダメだし、プレッシャーも大変だと思う」と、その“重さ”をひしひしと感じとっている。

「目標とする選手」に森田の名前を挙げる中高生らジュニア世代も増えてきた。日頃から師匠や同門の姉弟子たちに囲まれ、「私って、1人じゃ駄目な性格なんです(笑)」と、まだどこか頼りなさも漂わせる23歳。関係者からの祝福の嵐の中で、“女王としての覚悟”に直面することになった森田は、「岡本さんからは、人間的にも大きくならないといけないと言われている」と話し、笑顔も少し強張り気味だった。

(塚田達也)
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