史上2頭目、香港連覇で年度代表馬へ! 龍王ロードカナロア、有終のラストラン
日本馬が勝てない3大国際G1を圧勝
昨年は日本馬初となる香港スプリント優勝。輝かしいキャリアの最後を勝利で飾れるか。 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
彼のレーススタイルは「前に行っても良し、後ろから追い込んでも良し」と変幻自在で、勝ったレースはどれも印象的だが、特筆したいのは昨年末の香港スプリントだ。今までの香港スプリントには数多くの日本馬が挑戦するも、結果は惨敗続き。なぜなら海外のスプリンター達は筋骨隆々な体つきなのに対して、日本のスプリンターはG1馬でさえ非力に見えるほど体の作りが異なる。人間に例えるなら海外の短距離選手と国内の選手との差が一目瞭然というように、根本的な体の見栄えが違うのだ。海外の競馬に精通する競馬関係者の間では、日本馬が勝てない3大国際G1(凱旋門賞、BCクラシック、香港スプリント)の一つとして挙げられるほど、日本馬にとって縁がないレースと言われていた。ロードカナロアが如何にスプリンターズSを勝っていたとはいえ、海外遠征の経験もなく未知数な部分が多かった。
そんな中でフタを開けるとビックリ! レースでは好スタートから先行集団に位置取り。名だたる世界のスプリンターたちのスピードにも難なくついていき、3番手という絶好のポジションから最後の直線を迎えた。逃げたセリーズチェリーを直線の残り100m辺りでかわすと、後はゴールまで独走状態。何とも力強い勝ち方で世界の強豪たちを一蹴してみせた。展開のアヤなどではなく、力でねじ伏せて世界のスプリンターの頂点に立ったのだから凄過ぎる。
タイキシャトル以来の快挙も見えた!
今年は安田記念を制して2階級制覇を達成。タイキシャトル以来となる短距離馬の年代代表馬誕生はなるのか。 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
こうなると今後の動向が気になるところだ。秋にはスプリンターズSに出走することは間違いないとされ、そこでも余裕の勝利。その後はマイルCSに挑戦して1200m〜1600mのG1完全制覇を狙うのではとの声も上がった。しかし、陣営はマイルCSに出走するにはマイル用の体を作らなければならないということで断念。年頭から置いていた今年最大の目標である香港スプリント(12月8日、シャティン競馬場)へ駒を進めることになった。
香港でのロードカナロアの人気はもちろんウナギ昇りで、既に1番人気は間違いないと言われている。ここを勝てば香港スプリントが国際G1に格上げされてから史上2頭目となる同レース2連覇(もう1頭は香港の英雄・サイレントウィットネス)。自身も今季4度目、通算6度目のG1制覇ということになる。そうなればタイキシャトル以来となる最優秀スプリンターによる年度代表馬の座も見えてくる。さらにはこれが引退レースとなることも決まっており、何とか有終の美を飾ってもらいたい。
(photo & text by Kazuhiro Kuramoto)
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