モチベーションはチャンピオンとお金!?=UFCファイター水垣偉弥に聞く

長谷川亮

「外国人は自分のスタイルを持っている」

水垣はUFCで活躍できる理由を「得意な打撃で勝負できるから」と自己分析する 【t.SAKUMA】

――これは以前の発言で、日本で戦っていた時は力で優っていたけど、海外へ出ると並かそれ以下のことが多いということを言われていて、やはり相手と力の差を感じることが多いのでしょうか。

 特に組んだ時は感じます。締める力とかめっちゃめちゃスゴいですし。パンチとかも、綺麗な打ち方ではないんですけど強烈だし、逆に綺麗じゃない分すごいところから飛んできて見えにくかったりするんです。日本人はどっちかっていうと基本に忠実にやるタイプだと思うんですけど、外国人はそういうところを全部取っ払って自分のスタイル、それぞれいろんなスタイルを持っていて。最初にミゲール・トーレスとやった時、自分より(身長が)5、6センチ高くて細い選手だったので組み力はそんなにないだろう、リーチとかに気を付けようと思っていたんですけど、組んでみたら力もスゴくて。そこで最初にショックを受けた記憶があります。

――WEC初戦のトーレス戦でそういった経験をして、その後トレーニングを変えていった部分があったのでしょうか。

 その後から今も見てもらっているトレーナーにフィジカルを見てもらうことになって、それで自分の身体の部分のレベルは確実に上がりました。以前日本でやっていた時は1Rを取って、そこからだんだん落ちていって3Rは粘るみたいな、先に取っておいてそれを守るみたいな展開だったんですけど、最近は逆で、後半になると先に相手がバテてくるのが感じられるようになってきたとか、そういうところがだいぶ変わったなと思います。やっぱり外国人相手にいきなり行ってバンって当たるような戦い方だと、元から持ってるものが相手の方が強い場合はちょっと厳しいので。先に取ろうとしても取れないと、どんどん疲弊していってしまうんですけど、その辺はうまくできるようになったかなと思います。だから最初は五分の展開で何とかやって、相手が疲弊してきたらって、そういう感じはあります。

「タイトルマッチで戦える自信はある」

――水垣選手にとって、今モチベーションになっているものは何ですか?

 今はチャンピオンとお金です(笑)。金儲けしたいっていうのがありますけど、でも一番はチャンピオンです。オリンピックで金メダルじゃないですけど、そういう目標みたいな感じでチャンピオンっていうのが一番のモチベーションとしてあります。

――お父さんは今は応援してくれているのですか?

 早く辞めてほしいと思ってるんじゃないですかね(苦笑)。でも、もう諦めた感じがあります(笑)。前は心配で試合も見れないみたいな感じだったんですけど、最近はようやく日本でやる時ぐらいは見に来てくれるようになりました。

――いつぐらいから認めてくれるようになったんですか?

 ジムに通っているのは話していたんですけど、試合に出てるっていうのはデビュー2戦目まで内緒で、デビュー戦で顔が腫れたからこれはもうバレるなと思って、それで父に言ったんです。そしたらそこまでなっちゃったのかって、そこで半分諦めた感じはありました(苦笑)。そのころは一緒に住んでいたので隠しようがなくて。減量すると顔が明らかに変わってきちゃいますし、そろそろマズいなと思ったら髪の毛を切りに行ったりとか作戦を立てていたんですけど(笑)、顔が腫れちゃったらちょっと厳しいなと思って諦めました。

――試合で勝った後は何か自分にご褒美を買ったりはするんですか?

 マカオの後(2012年11月)で自転車を買って、こないだの試合(13年8月)で勝った後はちょっと高いホイールを買いました。試合に勝って少しずつ自転車をバージョンアップしていくっていうモチベーションです(笑)。最初はリバウンドがヒドかったので、それを押さえるために太り過ぎ予防で買ったんですけど、最近は完全に趣味です(笑)。

――これからもどんどん自転車がバージョンアップされていくのを期待しています(笑)。それでは最後に今後の目標をお願いします。

 まず12月に勝って4連勝することが前提で、来年はタイトルマッチまで辿り着けたらいいなと思っています。戦える自信はありますし、僕がやる前に(正規王者と暫定王者の)王座統一戦があると思うので、その勝った方と戦いたいです。

<了>

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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