ゴールドシップJC反撃態勢は整った「あとは馬と騎手、呼吸が合えば」

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反撃態勢が整ったゴールドシップ、JCではファンのためにも無様な姿は見せられない 【netkeiba.com】

 3歳の昨年は、皐月賞・菊花賞の二冠、グランプリ有馬記念も制し、世代最強馬の名を欲しいままにしたゴールドシップ。古馬となった今年は、宝塚記念でGIタイトルを増やしたものの、天皇賞・春、前走の京都大賞典で人気を裏切っている。とは言え、芦毛のスターホースへの声援は変わらず大きい。負けられない一戦を前に、管理する須貝尚介調教師の思いとは。(取材・文:井内利彰)

敗因は『位置取り』『気候』『枠順』『高速馬場』『斤量』

「やれることはやって、あとはレースを待つしかない」と須貝調教師 【netkeiba.com】

 ゴールドシップが単勝1.2倍の京都大賞典を5着に敗れた翌々日。須貝尚介調教師が顔を合わせるなり、レース結果について「支持してくれたファンに申し訳ない」と言葉にした後、一枚の紙に何かを書き始めた。

 そこには『位置取り』『気候』『枠順』『高速馬場』『斤量』と書かれており、「これが敗因かな」と、師なりの分析結果を教えてくれた。

「10月にも関わらず、レース当日は急激に暑くなりましたよね。競馬場の待機馬房は、後ろの物音を遮断するために、窓を閉めていました。これが風通しを悪くして、レースまでの時間も、暑さに苦しめられることになりました。また、高速馬場ということもあって、うまくギアチェンジができなかったことも敗因でしょう。でも、あそこから、ズルズル下がっておかしくないところを、最後は伸びて5着に来ているんですから、やっぱり力があるところは見せています」

 レースを使った後、その様子などはどうだったのだろうか?

「さすがに、今回は暑い最中に走ったこともあって、使ってからガクッと来ましたね。でも、10日ほど、吉澤ステーブルWESTでリラックスさせたので、いい状態で栗東へ帰ってきましたよ」

 栗東へ戻ってきてからは、10月22日に坂路で初時計。11月の10日と17日にはCコースで時計を出しており、追い切り本数はすでに10本を超えている。

「追い切りを含めて、Cコースに入れているのは、左回りになる、火曜日と日曜日。トラック馬場を利用しているのは、手前替えに変化をつけるためです。(トラックで)追い切り時計を出していない週でも、左回りのトラック馬場は週1回、乗るようにしています。前走時も、休み明けでも負けてはいけないという状況だったので、しっかりと調教を積みました。ただ、レース当日の運がありませんでしたね。今回もやれることをやって、レースを待つしかありません」

小学生からもファンレター

小学生からもファンレター……今度は勝利の恩返しを届けたい 【netkeiba.com】

 取材は19日に行ったが、この日は坂路4F63.3〜1F14.7秒。ラスト1Fが15秒を切っており、時計になっている。

「走りたくてしょうがないといった感じ。先週の追い切りでスイッチが入ったね」

 最終追い切りは20日に内田博幸騎手が跨って、シャドウバンガードとの坂路馬場での併せ馬。追走したが、最後はゴールドシップ自ら走る気を十分に見せての先着。時計は4F54.9秒と遅かったが「走りたくて仕方ない」という言葉が納得できる動きだった。

 前走人気を裏切ったゴールドシップだが、須貝尚介厩舎としては、ジャスタウェイで天皇賞・秋を制覇、アルゼンチン共和国杯のアスカクリチャンで、今年5勝目の重賞勝利。良い状態が続いているように思えるが……。

「いえ、まだまだですよ。人気に支持されながら、勝ち切れなかったレースも多いですし、かなり勉強させられることが多い現状です。それでも、たくさんのファンの方に応援していただくことができて、また、いろんな人に夢と感動を与えることができる、本当にいい仕事に携わることができて幸せです。
 ゴールドシップには、(馬券を買うことができない)小さなお子さんや、小学生からファンレターをもらうんですよ。手紙にかわいらしい字で『がんばってください』って書いているのを見ると、ほんと、ゴールドシップは愛されているんだなあって思います。
 どの馬も勝つために調教、調整しているわけですから、そんな簡単に勝てるものではありません。まして、GIレースですからね。だけど、ゴールドシップを応援してくれる、たくさんのファンのためにも勝ちたい、そんな気持ちです。あとは内田くんとゴールドシップが呼吸を合わせてくれれば、自然と結果が出るんじゃないでしょうか」

<了>

須貝 尚介(すがい なおすけ)

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1966年6月3日、滋賀県出身。父は元JRA調教師の須貝彦三。競馬学校第1期生として1985年に騎手デビュー。1990年、ハクタイセイできさらぎ賞を制し重賞初勝利。2008年、調教師免許取得により騎手引退。翌2009年に栗東で開業。2012年、ゴールドシップで共同通信杯を制し厩舎重賞初勝利。同年、同馬で皐月賞と菊花賞の二冠制覇。その菊花賞でJRA史上最速での通算100勝を達成した。
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