曲がり角に来ているジャパンカップ 国際レースとしての存在意義に陰り

橋本全弘

国際招待競走と銘打って続ける意味は?

期待されていたノヴェリストも結局、回避となった 【写真:AFLO】

 こういった現状において、今あるジャパンカップを従来通りのコンセプトで続ける意味があるのだろうか。

 海外からの参戦馬のレベル低下には色々な要因がある。賞金面ではかつては世界のビッグレースより高額だった時代もあったが、今の優勝賞金2億5000万円もさほど高額とは言えない。日程的に米ブリーダーズCや香港国際競走と重なり、参戦スケジュールがタイトになる。また、日本の硬すぎる馬場も脚元への負担や故障リスクが大きい……と参戦に消極的になる。これらの状況が一朝一夕に改善される要素は少ない。招待馬に選ばれれば、輸送費も滞在費もJRAに負担してもらえるから参戦する……と来日するのは中堅どころのGI馬がほとんど。こんな状況で国際招待競走……と銘打って続けても意味のないことではないだろうか。

 アラブの大富豪国カタールが国を挙げてスポンサーとなっているフランス・凱旋門賞や世界的な時計メーカー・ロンジンがスポンサーとして大会を盛り上げている香港カップなどのように、スポンサードしても魅力あるこれらのレースと、馬券売上至上主義の日本競馬ジャパンCとは同じ国際競走といってもその方向性は違うベクトルを向いていくのは仕方ないと思われる。
 2000年にダート版JCとしてスタートしたジャパンCダートも外国馬の不参加などが続いてその歴史を14年で閉じ、来年からはチャンピオンズカップと名を変えて開催されることが発表された。
 ジャパンカップも30回を超えた歴史と伝統は確かに継承し続けて行きたいが、現状を踏まえると、どこかで、何らかの“区切り”をつける時期が来ているのではないだろうかと思う。

<了>

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著者プロフィール

 1954年生まれ。愛知県出身。早稲田大学教育学部英語英文学科卒業後、スポーツニッポン新聞東京本社に入社。87年、中央競馬担当記者となり、武豊騎手やオグリキャップ、トウカイテイオー、ナリタブライアンなどの活躍で競馬ブーム真っ盛りの中、最前線記者として奔走した。2004年スポニチ退社後はケンタッキーダービー優勝フサイチペガサス等で知られる馬主・関口房朗氏の競馬顧問に就任、同オーナーとともに世界中のサラブレッドセールに帯同した。その他、共同通信社記者などを経て現在は競馬評論家。また、ジャーナリスト活動の傍ら立ち上げた全日本馬事株式会社では東京馬主協会公式HP(http://www.toa.or.jp/)を制作、管理。さらに競馬コンサルタントとして馬主サポート、香港、韓国の馬主へ日本競馬の紹介など幅広く活動している。著書に「名駿オグリキャップ」(毎日新聞社)「ナリタブライアンを忘れない」(KKベストセラーズ)などがある。

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