“神の左”山中、KO防衛でV5も反省「右をもっと練習しないといけない」
観客に「イライラさせて申し訳ない」
5度目の防衛を4連続KOで飾ったWBC世界バンタム級王者の山中 【t.SAKUMA】
世界王者経験者との対戦が続いた後で迎えた8月のV4戦、「過去3回の相手(ビック・ダルチニアン、トマス・ロハス、マルコム・ツニャカオ)より劣っているとは最初の方で感じました」という山中は、様子見することなくゴッド・レフトを一気に伸ばし、わずか2分40秒でホセ・ニエベスにKO勝ち。
今回も「相手のフィジカル面が弱いのを感じ」倒しに掛かったが、ステップに長けたメキシコのアウトボクサー、アルベルト・ゲバラは、パンチを「当てさせてくれなかった」。「よけるのがうまく、足を使うのもうまい。今までで一番倒しにくい相手」と戦前に予想していた山中だが、パンチの当てにくさは「予想以上」で、試合後のリングでも王者は「なかなかパンチが当たらなくてイライラさせて申し訳ないです」と反省しつつ観客に詫びた。
「強引な」右のジャブで距離を縮める
この一戦は足を使って動き回る挑戦者ゲバラに対して、どう距離を詰めるかが焦点だった 【t.SAKUMA】
山中は試合を「向こうの流れでもないし、自分の流れでもない。自分のペースになってはなかった」と振り返ったが、4Rまでの採点は39−37、39−37、40−36と3−0でリード。ポイントで先行し「(距離が)徐々に詰まっていくのは分かった」と、やがてとらえられるという揺るぎない自信から「焦りはなかった」と言う。大和心トレーナーも「毎ラウンド毎ラウンド、距離は詰まっていった」と話し、山中も陣営も“その時”が来るのを待っていた。
試合は戦前「彼の左をかわす自信はある」と語った通りにゲバラがクリーンヒットを与えず進めたが、左に比べ右に対する警戒が落ちるのを帝拳ジム・本田明彦会長が見て取り、山中が指示に従い「強引に当てていくジャブ」を出しとらえると、次第に距離が詰まり8Rのダウンシーンが訪れる。
ゴット・レフトでのKO劇にもさらなる強化の余地
最後は9Rで数々の強敵を倒してきた“神の左”が炸裂。ゲバラをマットに沈めてKO勝利となった 【t.SAKUMA】
この日は右で突破口を開き、左でのKOに繋げたが「プレスを掛けてるのはいいけど、手が出なくてうまい具合に(ゲバラに)出てこられた。“右の出し方をもっと練習しないと”と試合中に感じた」と、右を磨き上げることで、ゴッド・レフトにもさらなる強化の余地があることを語った。
来年の展望について、山中は「本当に強い相手や、みんなが喜んでくれるカードを」と言い、問われれば亀田兄弟(興毅・和毅)との統一戦にもやぶさかではない様子で「自信はあります」と回答。ただ、「評価されてる選手とやって、自分の評価を上げたい」というのが本音のところか。ジムの先輩で日本人初の快挙を成し遂げた、西岡利晃に続く本場・ラスベガスでのタイトルマッチを目指す。
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