高橋大輔が見せたここ一番の強さ 男を見せた織田、決断した無良=NHK杯男子

構成:スポーツナビ

フリーでも4回転をきっちり決めた高橋が優勝を飾った 【坂本清】

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯が9日、東京・代々木第一体育館で開幕した。男子フリースケーティングでは、高橋大輔(関大大学院)がフリー172.76点、合計268.31点で2年ぶり5度目の優勝を飾った。また織田信成(関大大学院)も序盤の4回転が抜けたもののらしさを発揮する演技で2位。無良崇人(岡山国際スケートリンク)は昨季プログラムに戻して臨み、6位ながら持ち味を発揮した。
 スポーツナビでは、4回転ジャンパーとして全日本選手権、GPシリーズなどに出場した中庭健介さんに、ジャンプに集中した高橋、前半のミスを挽回した織田の切り替え力、無良の決断、そして5位に終わったハビエル・フェルナンデス(スペイン=世界選手権銅メダリスト)の様子から4回転ジャンパーが陥る“穴”について解説してもらった。

フリーでも4回転を決めた高橋大輔

 今日もすごかったです。冒頭の4回転は6分間練習で決まっていなかったようなのですが、それを本番で決めきった。途中4回転が3回転になったり、コンビネーションの判定がつかなかったところもありましたが非常にまとまっていました。
 試合後のインタビューでも、今日のフリーでは「(演技というより)ジャンプに集中していた」と言っていましたね。確かにどんなに良い演技をしても、ジャンプが決まらないと点数は出ません。でもそれを正直に言うところが良いですね。そして、(6分間練習では決まっていなかったのに)4回転に2回も挑戦しようとしていたところが男気だなと思いました(4回転トゥループと、4回転トゥループ−2回転トゥループのコンビ)。コレオグラフィックシークエンスも、音に乗れていなかったと言っていましたが、見ている方には「素晴らしい」としか思えませんでした。久々に大ちゃんらしい笑顔が見られて嬉しかったです。

 追い詰められたところでここ一番の強さ、それを良い演技で出しました。後半のジャンプが少し緩くなってしまい、着氷が乱れた部分はありましたが、目に見えない重圧とプレッシャーのなかでよく滑りました。

織田、冷静にミスをカバー

男・織田! 4回転も跳び、コンビでも冷静な判断で得点を出した 【坂本清】

 織田くんは本当に良かったです。男だなと思いました。
 1発目の4回転からのコンビネーションがスケートカナダ(10月26〜27日)と同様に抜けてしまいましたね。でも続く単発の4回転をしっかり決めた。スケートカナダでは少なかったコンビネーションを、今日は冷静な判断で上限の3回を入れきりしっかりこなしました。
 一瞬スケートカナダでのミスが頭をよぎったかも知れないですが、その怖い思いを払拭(ふっしょく)して自分の力を信じきりました。

 それから、後半も良かったですね。音楽のスピードが上がるにつれて、お客さんも一緒になって織田くんを後押しして、盛り上がりの演技を見せていましたね。後半で疲れているはずなのに、笑顔で演技を見せて、あれは印象としてすごく良かったです。軽やかな動きも見栄えが良かったです。

 織田くん本人も自分の点数を見て「うわー」みたいな嬉しそうな顔をしていましたし、実際に成績も2位という素晴らしいものでした。GPファイナルも可能性があると思います。関係者からよく「練習中、織田くんが一番安定している」という話を聞きます。失敗がありながらこの成績なので、ベストな演技を見せれば180点台も出せるかも知れません。

(五輪代表枠争いに向けても)面白い存在になると思います。織田くんは自分の力を出せれば、(代表枠に)近づける力を備えていると思います。

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