スーパーアグリ再演の意義=赤井邦彦の「エフワン見聞録」第16回

赤井邦彦/AUTOSPORTweb

来年スタート! EVの世界選手権

公開された、スーパーアグリ“FE”のカラーリングイメージ。F1時代を彷彿とさせる、赤と白のデザインにまとめられている。他にも、プロストやアンドレッティ率いるチームも参戦予定だ。そして気になるのはドライバー。誰が乗ることになるのか? 開幕は来年9月、北京となる 【Formula E】

 鈴木亜久里率いるスーパーアグリが再び世界へ飛び出していく。同F1チームの盛衰を見てきた私としては、鈴木の再挑戦を放っておくわけには行かず、スーパーGT最終戦が行われたツインリンクもてぎで鈴木を直撃、話を聞いた。ただ、断っておかなければならないのは、スーパーアグリの今度の世界挑戦はF1ではなくフォーミュラE。来年から始まるFIA(国際自動車連盟)による電気自動車(EV)の世界選手権だ。

 FIAフォーミュラE選手権は、2014年9月から年をまたいで最初のシリーズが幕を開ける。初シーズンは2014年9月から2015年6月までの10戦で行われ、開催地はロンドン(イギリス)、ベルリン(ドイツ)、ローマ(イタリア)、モンテカルロ(モナコ)、ロサンゼルス(米国)……など主要国の大都市公道レースとなる。大都市で公道レースとして行われる理由は、都市部の大気汚染問題への対策などを訴えるためで、開幕戦の行われる中国・北京などは、まさに打って付けの場所と言えるだろう(中国当局の受け取り方、大気汚染への取り組み姿勢にもよるが……)。

「亜久里さんと仕事がしたい!」

 鈴木にこのフォーミュラEへの参戦を決めさせたのは、かつてスーパーアグリF1チームで働いていたマーク・プレストン。彼は現在イギリスでカーボンコンポジットの会社「フォームテック・コンポジット」を経営しており、自動車業界、モータースポーツ界、航空産業界にパイプを持っている。そのプレストンがフォーミュラEに興味を持ち、鈴木に声をかけてきたのだ。「技術的なことはこちらでやります。チームとしての参戦をぜひ亜久里さんのところでお願いしたい」と。

 鈴木はこのプロジェクトを開始するに当たってこう言う。

「僕はいろんなモータースポーツに携わってきましたが、将来のことを考えるとフォーミュラEは大変に重要なポジションを担うカテゴリーだと思いました。かつて一緒に仕事をしていたマークがすごく真剣で、じゃあ一緒にやろうということになったんです。マークは素晴らしく正直な人間で、技術に対しては深い造詣を持っている。その彼と、これからの自動車社会を担っていけるような技術を持って展開するレースなら、是非やってみたいと思った。やらなければならないと思ったんです」

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著者プロフィール

赤井邦彦:世界中を縦横無尽に飛び回り、F1やWECを中心に取材するジャーナリスト。F1関連を中心に、自動車業界や航空業界などに関する著書多数。Twitter(@akaikunihiko)やFacebookを活用した、歯に衣着せぬ(本人曰く「歯に衣着せる」)物言いにも注目。2013年3月より本連載『エフワン見聞録』を開始。月2回の更新予定である。

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