新天地ヘルタで評価を上げる細貝萌=日本代表MFを支えるルフカイ監督の信頼
揺るがない監督の信頼
細貝はルフカイ監督を「これまでで最高に合う監督」と称する。監督との信頼関係がここまでのパフォーマンスを引き出している 【Getty Images】
「僕らは今季のブンデスリーガをうまくスタートさせることができた」。細貝は、今季初戦をそう思い出し、自身とクラブの状況について、このように語る。「この夢のようなスタートをどう評価するべきか分かっているし、僕らはこういう試合を続けるために何が必要なのか理解している。僕らは毎日ハードワークを続けていかなければならないし、これまで残した結果にあぐらをかくことは許されない」。
ヘルタが良い試合をしても、細貝がそれほど目立たないことはあった。常に信頼されていながら、力を出しきれないこともある。その唯一の試合が、1−1で引き分けたハノーファー戦だった。この試合は、細貝のベストの日とはならなかった。それでもルフカイは、これを寛容に受け入れる。指揮官のプランという名のパズルの中で、細貝は最も大事なピースの一つであるからだ。守備的MFとして、先発レギュラーであり続けることに、疑いの余地はない。
監督とホームタウンに恵まれた細貝が証明したこと
レバークーゼンからのレンタルで、試合経験を積んだチームであるアウクスブルクも、かつては細貝の残留を望んでいたもののレンタル元へと彼を返さねばならなかった。金銭的に、アウクスブルクにはどうしようもなかったのだ。レバークーゼンに戻ると、時に右に左とサイドバックもこなし、オールラウンダーとしてプレーした。細貝は自分の仕事を上手くこなしたが、本当に特別な働きをするには至らなかった。レバークーゼンには非常に多くのハイレベルな守備的MFがそろっていたため、細貝は環境を変え、ルフカイと再会するという決断を下した。
「これまでで最高に合う監督です」という細貝の言葉は、まるで愛の告白や結婚を語る言葉のように響く。細貝はヘルタと4年契約を結んだ。「ベルリンは素晴らしい街で、さまざまな機会にあふれています」と、新たなホームタウンとの相性も抜群だ。では、ピッチ上ではどうだろう?“老貴婦人”は先週末にシャルケに敗れたものの、7位という非常に良い位置につけている。欧州の舞台で戦うシャルケとの差も、たった2ポイントでしかない。
ヘルタの目標は、ヨーロッパのカップ戦への出場権をつかむことではなく、1部リーグに残留することだ。しかしヘルタはまたも、ドイツのベストチームを相手にしても勝負できることを証明した。それもまた、細貝あってのことである。ボアテングに質問すれば、きっとそういう答えが返ってくることだろう。
<了>
(翻訳:杉山孝)