新天地ヘルタで評価を上げる細貝萌=日本代表MFを支えるルフカイ監督の信頼

ボアテングの行動範囲を狭めることに成功した細貝

先発出場を続ける細貝。試合には敗れたものの、ボアテングに仕事をさせなかった 【Getty Images】

 シャルケ04のスーパースターであるケビン=プリンス・ボアテングは、生まれ故郷のベルリンへと凱旋した。ここ数週間、低調なパフォーマンスに終始したこの元ミランのトッププレーヤーは、“ディー・アルト・ダーメ”(ドイツ語で「老貴婦人」の意。ヘルタ・ベルリンの愛称)と対戦するブンデスリーガ第11節では、再びリーダーとしてシャルケを勝利へ導く責務を担っていた。だが、ボアテングには「番犬」による厳しいマークがつけられた。監視を請け負った細貝萌は、このガーナ代表MFの行動範囲を狭めることに成功した。

 ドイツ紙「ベストドイチェ・アルゲマイネ・ツァイトゥング(WAZ)」による先週土曜のボアテングの評価は、シャルケの中でも最低の部類に入った。WAZ紙のマッチレポートでは、ボアテングは「中盤で試合をつなぐことができなかった」と評した。換言するなら、細貝が任務に成功したということだ。試合自体は、2−0でシャルケの勝利だった。それでも、チャンピオンズリーグ(CL)にも出場しているシャルケを相手に、この日本代表MFはまたしても自身のクオリティーを示し、期待に見合う活躍をしたのである。

監督の信頼を勝ち得て、新天地でスタメンを続ける

 ドイツの首都をホームとするヘルタが、1部リーグ復帰にあたり資金を投じて補強した選手はたったの1人。レバークーゼンからやって来た、細貝のみである。ヘルタはこの日本人の獲得に100万ユーロ(約1億3200万円)を費やした。その他の補強は、すべてフリーエージェントだった。だがこの27歳は、期待を重荷だとは感じていない。ヘルタがドイツで3つ目のクラブとなる細貝は、インタビューの中で「ベルリンにとても馴染んでいます」と話した。この守備のオールラウンダーは、「僕がより馴染みやすくなるように」クラブのあらゆる人々が多大な努力をしてくれたと感謝する。

 この巨大な都市で、細貝と特に結びつきの強い人物がいる。ヨス・ルフカイ監督である。2人はすでにアウクスブルクで共に働き、成功を収めている。この指揮官がいたからこそ、細貝はレバークーゼンでCLに出場できるチャンスを顧みず、昇格組でのタスクを背負うことを決断したのだ。

 細貝の決断は正しかった。レバークーゼンに残っていたなら、今も控えのままだったことだろう。だがベルリンでの彼は、監督の強い信頼を勝ち得ている。「ハジメは素晴らしいプロフェッショナルだ」と、ルフカイは称賛の言葉を口にする。「サッカーに対する姿勢は素晴らしく、パスゲームの中でのタイミングの取り方と戦術眼がとても良い」と評し、ブンデスリーガで重要となるすべての資質をもたらす存在だと語る。その要素とは、実際のプレーの速さと、守備から攻撃への切り替えのスピードである。細貝はこれらの特性を完ぺきに融合させている。

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著者プロフィール

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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