田中を攻略した崖っぷち巨人の集中力=絶対エースの敗因は「守備の2つのミス」
シーズン無敗の田中を攻略した巨人打線。そのポイントはどこにあったのだろうか? 【写真は共同】
橋本氏「『後がない』という“集中力”が主役を目覚めさせた」
ロペスの一振りで同点に追いつけたことで、巨人打線に勢いが 【写真は共同】
不調の選手たちが目覚めた理由は「後がない」という“集中力”でしょう。追い込まれた状況にもかかわらず、リーチをかけられたということをプレッシャーに感じず、プレッシャーを力に変えられた。巨人は、キャリアがあり、大舞台を数々経験しているからできたことでしょう。
第6戦の田中投手は、第2戦と違い、コントロールが甘かったですね。打たれている場面はことごとくボールが真ん中に入っていました。とは言っても、田中投手はそれほど失投が多いわけではありません。ですが、「ボール1個分、半個分でもコントロールミスしたら、打ち逃さない」という巨人打線の“集中力”が、わずかなミスを打ち逃さず打てたという点が、前回と違ったように思います。
慌てず自分のベストスイングを心掛けながら、積極性を失わず、打ちにいけていました。これが田中投手を攻略できたポイントのひとつだと思います。
具体的には、5回の攻撃で、一振りで同点にできたことが大きいですね。1点ずつ追いかけていくと、田中投手のギアの上げ方など考えると苦しかったと思います。しかし、不調だった主役のひとり、ロペス選手の一発で同点に追いついたことで、チームに「いけるぞ」という勢いにつながりました。また、ロペス選手のホームランのあと、寺内崇幸選手がヒットで出てつないだことも、田中投手に精神的余裕を与えなかったという点でポイントだったと思います。同点に追いつかれた場面、絶対エース・田中投手と言えども精神的に乱れる場面です。そこで、寺内選手が続くことで、田中投手にプレッシャーを与え続け、心を乱すことに成功したと思います。たたみ掛けて一気に逆転までもっていけたことが、巨人としては価値が大きかったのではないでしょうか。
田中投手を攻略することで、最高の弾みになりました。楽天の大きな柱を打ち砕いたので、第6戦の勝利は単なる1勝ではなく、何十倍、何百倍の力になる勝利になったと思います。
最終戦のポイントは「杉内俊哉」
巨人打線は田中投手を打って気持ちは楽になっているはずです。一方、楽天はどこか追い込まれた感覚を持つはずです。エースが敗れた次の試合の経験は、今シーズンなかったわけで、それが日本シリーズ最終戦という大舞台で起きたわけですから、そのプレッシャーは計り知れません。
巨人に来た流れを止めないでいけるか。杉内投手の序盤のピッチングがポイントになってくると思います。
※次ページは山村氏による楽天の解説